ERP（基幹システム）には企業規模に合わせてさまざまなタイプがあり、導入する際は、自社の規模に合い、必要な機能が搭載されたシステムを選ぶことが大切です。
今回は、 ERPのタイプや選び方、企業規模別のおすすめランキングを紹介します。
ERPとは？
ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略で、企業におけるヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を一元的に管理・最適化するための統合業務システムです。
ここでは、 ERPの主な種類や導入によるメリットについて解説します。
ERPの種類
ERPは、導入形態により、オンプレミス型とクラウド型の2種類に分けられます。
| 種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
| オンプレミス型 | 自社でサーバやネットワーク機器などを用意し、運用するタイプ | ・自社専用として細かくカスタマイズでき、データも社内で管理できる ・セキュリティ性が高い | サーバーやシステムの開発 ・管理などにコストがかかる |
| クラウド型 | インターネット経由で利用するタイプ | ・初期費用が比較的安い ・システムの運用から保守までベンダー側が管理 | カスタマイズ性が低い |
ERPのメリット
ERPには、次のようなメリットがあります。
- 情報の一元管理
- 迅速な経営の意思決定
- システム間のデータ連携作業が不要
ERPは各部署の情報を一元管理できるため、売上や在庫、キャッシュフローなどの状況をいつでも確認できます。問題が発生しても迅速に発見・対応でき、早期解決が可能です。リアルタイムで経営状況を把握できるため、迅速な意思決定ができる点もメリットです。
また、情報を一元管理することでシステム間のデータ連携作業が不要となり、業務効率が向上します。入力ミスやデータの二重入力を防げることも利点です。
ERPのタイプ一覧
ERPは、業務範囲別に、次の3つのタイプに分けられます。
| タイプ | 特徴 |
| 統合型 | 経営に必要なデータをひとつに統合して管理できる |
| コンポーネント型 | 自社に必要な業務システムを選択・組み合わせて導入する |
| 業務ソフト型 | 特定の分野の業務に特化して一元管理を行う |
それぞれの特徴を把握して、自社の用途に合ったタイプを選びましょう。タイプ別の特徴を、さらに詳しく解説します。
オールインワンの統合型
統合型は、会計・販売・人事・給与など、企業経営に必要なデータをオールインワンで管理・運用できるタイプです。
ひとつのデータベース上で情報をリアルタイムに共有でき、部門間の連携を強化できます。たとえば、営業が受注を登録すると、倉庫では自動で出荷準備、経理では売掛金処理が始まるなど、シームレスな業務連携が可能です。部署ごとに異なるシステムを使っており、情報が分断されている企業におすすめです。
柔軟に組み合わせができるコンポーネント型
会計、販売、生産などの業務単位ごとに、必要な機能を柔軟に組み合わせて導入できるタイプです。企業の業務プロセスや成長段階に応じて、あとから機能を追加・拡張することができるため、変化に柔軟に対応できます。
また、初期投資を抑えつつ、小規模な導入からスタートできる点もメリットです。一部の部署からスモールスタートをしたいと考える企業に適しています。
特定の分野に特化した業務ソフト型
会計、人事・労務、生産管理など、特定の分野における業務に合わせて最適化された機能やテンプレートを備えたタイプです。たとえば、製造業であれば生産管理や原価計算、建設業であれば工程管理や原価管理など、各業界の業務要件にあらかじめ対応しています。
関連部署の少ない小規模企業や、効率化したい業務が限られている企業に向いています。
ERPの選び方
ERPの導入では、自社に合った製品を見極めることが必要です。
ここでは、選び方の重要なポイントについて解説します。
自社の規模に適しているか
ERPシステムは、自社の規模や将来の展望に合わせて適切な製品を選定することが重要です。
大企業では業務内容や社内ルールが複雑になるため、それに対応できる高度で柔軟なERPが求められます。海外進出や事業拡大を見据え、カスタマイズ性や拡張性に優れたシステムの導入がおすすめです。
成長が期待される中小企業には、スモールスタートで導入し、必要に応じて機能を拡張できる製品が適しています。
一方、小規模企業では高額なERP導入のハードルを考慮し、必要最低限の機能に絞った、コストを抑えたシステムを選ぶとよいでしょう。
必要な機能が搭載されているか
ERPを選ぶ際は、自社にとって必要な機能が搭載されているかどうかも重要なポイントです。必要な機能が不足していると、それを補うために別のシステムを導入しなければならず、コストや運用の負担が増える可能性があります。
そのため、導入前に自社の業務プロセスを丁寧に洗い出し、それに基づいて必要な機能を明確にしておくことが大切です。
サポート体制は充実しているか
ERPを円滑に運用するには、サポート体制の充実も欠かせません。システムの導入時や日常的な運用に加えて、想定外のトラブルや追加カスタマイズが必要になった際にも、迅速で適切な対応が求められます。
もしサポートが不十分であれば、トラブル発生時に対応が遅れ、業務の停止を招くリスクがあります。
こうしたリスクを最小限に抑えるためにも、導入前にベンダーのサポート体制を十分に確認しておくことが重要です。
企業規模別・満足度の高いERPのおすすめランキング
ここからは、大企業・中堅企業・中小企業という企業規模別に、満足度の高いERPのおすすめランキングを紹介します。（※1）
大企業に人気のERP
ここでは、大企業（※2）から高い満足度を得ているERPを紹介します。
（※2）2025年5月1日現在、ITreview掲載/ERPパッケージ製品の企業規模別「大企業で人気のERPパッケージランキング」を参考に、従業員数1,000人以上を大企業としています。
1位 MA-EYES
MA-EYES（エムエーアイズ）は、ビーブレイクシステムズが提供するクラウド型のERPシステムです。企業経営に必要な多くの機能を標準で備えているだけでなく、開発・運用の自由度が非常に高い点も特徴です。
また、新たな業務要件が発生した際にも、必要な機能を追加することで、自社の現状に最適化されたシステムへ柔軟に拡張できます。
参照：MA-EYES
2位 OBIC7
OBIC7とは、株式会社オービックが提供しているコンポーネント型ERPです。会計を中心に、人事、給与、販売、生産管理などの多岐にわたる業務を一元的に管理できます。
さらに、業務や部門ごとのソリューションを組み合わせることで、各企業のニーズに合わせた最適なトータルソリューションを構築することも可能です。
参照：OBIC7
中堅企業におすすめの ERP
ここでは、中堅企業（※3）から高い満足度を得ているERPを紹介します。
（※3）2025年5月1日現在、ITreview掲載/ERPパッケージ製品の企業規模別「中堅企業で人気のERPパッケージランキング」を参考に、従業員数100～999人を中堅企業としています。
1位 multibook
multibook（マルチブック）は、海外拠点を持つ企業向けのクラウド型ERPです。多言語・多通貨に対応しており、海外拠点の経営状況をリアルタイムで把握できます。
操作画面がシンプルで、初心者でも直感的に操作できる点も魅力です。また、各海外拠点の財務諸表を統一フォーマットで表示できるため、比較や集計が容易になるというメリットもあります。
参照：multibook
2位 GLASIAOUS（グラシアス）
法人規模や業態に応じて必要な機能を選択して利用できる、多言語・多通貨対応のクラウド型国際会計＆ERPサービスです。
物理的距離や時差、言語、制度の違いといった障壁を越え、さまざまな国や地域で利用可能です。
さらにGLASIAOUSでは、世界各地の会計事務所やIT企業と連携した「コンソーシアム」を構築しており、システムだけでは対応が難しい現地特有の課題にも、国際会計の専門家がサポートする体制が整っています。
参照：GLASIAOUS
中小企業におすすめの ERP
ここからは、中小企業（※4）から高い満足度を得ているERPを紹介します。
（※4）2025年5月1日現在、ITreview掲載/ERPパッケージ製品の企業規模別「中小企業で人気のERPパッケージランキング」を参考に、従業員数100人未満を中小企業としています。
1位 事務SOL
事務SOLは、中小企業向けに開発されたクラウド型ERPです。これまで個別に管理していたExcelや給与ソフトのデータを一元管理し、情報の分散を解消します。
各業務がひとつのシステム（ONE SYSTEM）上で連携して動作するため、転記や集計といった手作業を削減し、入力ミスの防止や、不要な作業時間・手間の大幅な削減につながります。
参照：事務SOL
2位 Robot ERPツバイソ
RobotERPは、自律的な業務運用の実現を目指すクラウド型ERPシステムです。フロント業務を自動化する「ツバイソPSA」と、経理・財務などのバックオフィス業務を自動化する「ツバイソERP」で構成されています。
業務プロセス全体の自動化に加え、取引先との電子取引にも対応しており、各種データを統合的に管理できる点が大きなメリットです。
参照：ツバイソ
（※1）2025年5月1日現在、ITreview（https://www.itreview.jp）掲載でERPパッケージ製品の企業規模別「大企業で人気」「中堅企業で人気」「中小企業で人気」でのランキングを参照
ERPと連携・統合できるCELF
ERPの導入を検討している方におすすめなのが、ノーコードで業務システムを開発できるツール「CELF（セルフ）」です。CELFは、Excelに似た画面構成と操作性を備え、誰でも簡単に業務アプリを作成できます。
CELFはさまざまなERP製品との豊富な連携実績があり、企業内に蓄積されたERPデータと統合することで、データの利活用を一層促進します。さらに、各種データの変更や修正も直感的に行えるため、運用効率の向上が期待できます。
これまでERPでは集計できず、Excelで個別に対応していた業務も、CELFを使えば業務アプリ化によって効率化が可能です。
たとえば、顧客管理システム（CRM）であるSalesforceを導入している場合、システム開発を行うことなくドラッグ＆ドロップによる設定操作だけでデータ連携ができます。
加えて、ERPとCELFを連携すれば、ERPの最新マスタデータをCELFアプリで活用できる上、CELFアプリ上で更新した情報をERPに自動で反映できます。
ERPとCELFを連携して業務を効率化しよう
ERPは企業の経営資源を一元的に管理・最適化できるシステムであり、情報の共有と業務効率化に貢献します。情報の一元管理により迅速な経営の意思決定を実現し、システム間のデータ連携作業も不要です。
ERPを導入する際は、企業規模に合っているか、自社に必要な機能は搭載されているかなどのチェックポイントを押さえましょう。
また、業務アプリ作成ツールのCELFを活用すれば、 ERPと連携してさらなる業務効率化が可能です。ぜひご活用ください。
