2025年に順次施行される建設業法等の改正は、深刻化する人手不足や資材高騰、長時間労働といった建設業界の課題に対応するための大きな見直しです。
労務費の適正化や価格変動への対応強化、働き方改革の推進など、事業者が取り組むべき内容が数多く含まれています。
本記事では、建設業法等改正の概要と、企業が取るべき対策をわかりやすく解説します。
2025年の建設業法等改正とは?

2025年施行予定の建設業法等(建設業法・入契法)改正は、建設業界の賃金水準や過酷な労働環境といった課題に対応するため、労働者の処遇改善、資材高騰による労務費へのしわ寄せ防止、働き方改革と生産性の向上などを柱としています。
ここでは、建設業法等改正の概要や施行スケジュール、改正の背景について解説します。
建設業法等改正の概要
建設業法等改正は、建設業界の労働環境改善と事業者間の取引の適正化を目的とした大規模な見直しです。
改正法の正式名称は「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」で、2024年6月7日に国会で可決・成立しました。施行時期は公布日から1年6ヶ月以内と定められており、2025年中の適用開始が見込まれています。
主な改正点には、労務費の明確化と適正な確保、著しく短い工期の契約を防ぐための基準整備、契約内容の書面化や説明義務の強化などが含まれる予定です。
技能者の待遇改善と働きやすい環境づくりを促すことで、業界全体の持続的な発展を後押しする内容となっています。
施行スケジュール
建設業法等改正の施行は、以下の内容が段階的に進められます。
- 公布後3ヶ月以内に施行される項目(2024年9月1日施行)
- 6ヶ月以内に施行される項目(2024年12月13日施行)
- 1年6ヶ月以内に施行される項目(2025年中に期日を別途設定)
特に、「労務費の基準」を定めるための規定など、一部の重要な制度については早期に適用が始まり、業界全体の準備を後押しする形で運用が進められます。
改正の背景
建設業法等改正が行われた背景には、建設業界において、人材不足の深刻化や長時間労働、賃金水準の低さといった課題が続き、業界全体の継続性が問われていることがあげられます。
こうした状況を改善するため、今回の改正では「労働者の処遇改善」「資材価格高騰への対応」「働き方改革」の3点を柱に制度を見直し、安定した労働環境と健全な事業運営を実現することを目指しています。
建設業法等改正の3つのポイント

建設業法等改正では、建設現場の労働環境や契約の透明性を高めるために、労働者の処遇改善や資材価格高騰への対応、働き方改革という3つのポイントが柱となっています。
ここでは、改正の概要と各ポイントの内容を解説します。
労働者の処遇改善
建設業法等改正では、労働者の待遇向上を図るための仕組みが強化されました。
まず、事業者には「労働者の処遇を適切に確保すること」が努力義務として課されます。さらに、人件費を適正に反映した見積もりが行われるよう、「労務費の基準」を作成し、必要に応じて勧告できる制度を整備しました。「労務費の基準」に基づき、極端に低い労務費で見積もりを依頼した注文者には国土交通大臣が勧告・公表を行い、同じく低すぎる労務費で見積もりを提出した受注者には指導・監督が行われます。
また、著しく低い材料費や外注費での見積もり提出を禁止し、不当な価格競争を防ぐルールが明確化されました。
これに加えて、原価を下回る契約の禁止規定が注文者だけでなく受注者側にも適用され、健全な取引環境の構築を促す内容です。
資材高騰に対応する規制の導入
建設資材の価格変動に対応するため、改正法では新たなルールが設けられています。まず、受注者は資材価格の急騰などに関するリスク情報を注文者へ適切に伝える義務が課されます。
また、資材高騰が発生した際に請負代金をどのように見直すか、その手順を契約書に明記することが必須となりました。
さらに、価格変動による契約変更の協議について、注文者が誠実に話し合いに応じるよう求める規定も新たに追加されています。
これらの改正により、不安定な資材価格にも左右されにくい、公正で透明性の高い取引環境が整備されることになります。
働き方改革と生産性向上への取り組み
働き方改革と生産性向上を後押しするための取り組みも強化されました。長時間労働の抑制に向けて、適切な工期設定や業務プロセスの見直しが促され、無理のない働き方を実現する環境づくりが進められます。
また、ICTを活用した現場管理の効率化が位置づけられ、進捗確認や情報共有をデジタル化することで、現場作業の負担を軽減し、生産性向上を目指します。
さらに、技術者の配置基準や書類提出の合理化が図られ、手続きの簡素化や事務負担の削減が進む点も重要な改正ポイントです。
これらの施策により、建設現場の働きやすさと効率性の向上を同時に実現します。
建設業法等改正で事業者に求められる対策

建設業法等改正を踏まえ、事業者にはさまざまな対策が求められています。
ここでは、事業者が取り組むべき対策をみていきましょう。
見積書・契約書の記載内容の見直し
建設業法等改正に対応するためには、自社の見積書や契約内容が労務費を適正に反映しているかの確認・見直しが必要です。
具体的には、人件費や労務費の計算方法、工期設定、材料費の妥当性などをチェックし、過小な見積もりや原価割れ契約を防ぐ必要があります。
見直しにより、労働者の処遇を確保しながら、法改正に沿った公正な契約体制を整備できます。
賃金や労働条件・社内規定の見直し
改正への対応策として、従業員の能力評価制度を整備し、その結果に基づく公正な賃金支払いや労働条件の改善を行うことが求められます。制度の見直しにより、処遇の適正化や働きやすい環境を確保できます。
また、改正に沿った体制を整えるためには、社内規定の見直しや整備を行い、賃金体系や勤務条件のルールを明確化することも重要です。
資材高騰や工期に関するリスク情報を共有
改正法に対応するためには、資材価格の高騰や工期に関するリスク情報を受注者と注文者で適切に共有することが大切です。契約書には必ず「価格変動時の協議方法」を明記し、変更を一方的に拒否できない仕組みを整えます。
契約後に資材費が高騰した場合は、注文者に誠実に協議を申し入れ、必要に応じて請負代金の改定を行う体制を整備することで、公正で安定した取引環境を確保できるでしょう。
ICT活用の施工体制を推進
事業者は、施工体制台帳の整備や現場の進行管理について、紙中心の運用から脱却し、デジタルツールを活用した管理方法へ移行していくことが求められています。
体制の整備により、ペーパーレスで情報を効率的に共有でき、現場の作業負担を軽減しながら、進捗管理や安全管理を迅速かつ正確に行える環境を整備できます。
建設業法等改正の対策が遅れるリスク

建設業法等改正に向けた対策が遅れると、コストの増大や対外的な信頼を損なうなどのリスクがあります。
ここでは、対応が遅れた場合に考えられるリスクを解説します。
コストが増大する
改正法に対応せず価格転嫁を行わない場合、資材費の高騰や人件費の増加が自社負担となり、利益を圧迫する可能性があります。
また、無理な工期短縮や労務費の未払いは、従業員の離職や現場の安全リスクを引き起こし、長期的な経営基盤の安定を損なうおそれがあります。
法改正への対応を怠ることは、短期的なコスト増だけでなく、継続的な事業運営にも大きな影響を及ぼすリスクがあるでしょう。
注文者や取引先からの信頼を損なう
建設業法等改正に対応せず、従来の取引慣行をそのまま続けることは、注文者や取引先からの信頼を大きく損なうリスクがあります。
適正な労務費や契約内容の見直し、資材高騰時の価格調整などに対応しない場合、契約の公正性や透明性が疑問視され、将来的な受注機会の減少や取引関係の悪化につながる可能性があるでしょう。
また、法令遵守が評価基準となる公共工事や大手企業との取引では、契約対象から外されることも考えられます。
法改正に沿った適切な対応を行うことは、単なる規制遵守にとどまらず、取引先との信頼関係を維持し、事業運営の継続を支えるものといえるでしょう。
法令違反によって行政処分を受けるリスクがある
改正法への対策を怠り、労務費を適切に計算・管理しなかったり、資材価格の変動に対して誠実な対応をしなかったりすると、法令違反として行政から処分を受ける可能性があります。
具体的には、原価割れ契約や不当な見積もり、契約変更協議への不誠実な対応などが問題視される可能性があるでしょう。
その結果、是正命令や指導、場合によっては罰則の対象となるリスクがあります。
これらの行政処分は、企業の信用低下や受注機会の喪失、取引関係の悪化を招く可能性があり、長期的な事業運営にも大きな影響を与えます。
改正法に沿った適正な契約管理と労務費の取り扱いは、法的リスク回避のためにも不可欠です。
建設業法等改正の対策に役立つ「CELF」
建設業法等改正に向けた対策では、改正に対応した見積もりの作成が必要ですが、それに対応したサービスとして、「CELF Apps 階層見積 with CELF mini」がおすすめです。
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カスタマイズすればワークフローも組み込め、粗利の低い見積もりの自動チェックにも対応します。データはクラウドで一元管理され、どこからでも最新情報の確認が可能です。
さらに入力・転記する作業時間を短縮するための機能もたくさん。
CSVファイルを取り込む機能があるため、他システムの情報を簡単に取り込めるほか、Excelをコピーしてそのまま貼り付けられるのでこれまで使用していた見積書のデータをそのまま使うことができます。
またAI機能を使って画像を文字データ化し、見積作成アプリに自動反映できるため、誰でもラクに見積作成ができ、業務の簡略化も実現します。
2025年建設業法等改正を踏まえた準備を進めよう

建設業法等改正は、適正な労務費の確保や資材価格変動への柔軟な対応、働き方改革の実現など、業界全体の健全化を目的としています。企業が早期に体制を整えることで、法令遵守だけでなく、利益確保や生産性向上にもつながります。
自社の見積もり・契約・現場管理を見直し、改正後も安定した事業運営を実現しましょう。
改正後の見積もり・契約業務に役立つのが「CELF Apps 階層見積 with CELF mini」です。階層見積への対応や原価管理、クラウドでの一元管理を実現します。改正法に対応し、業務効率化と精度向上を同時に進めたい企業におすすめです。




