AI-OCRとは、OCRにAI(人工知能)を用いた、より高度な文字認識技術のことです。従来のOCRと比べて手書き文字や読み取りにくい文字にも対応しやすく、データ入力業務の効率化に役立ちます。
本記事では、おすすめのAI-OCR製品10選をご紹介するほか、AI-OCRのメリットや選び方のポイントを解説します。
そもそもOCRとは何か
「OCR」は、手書きや印刷された文字を画像として読み取り、それをデジタルな文字データに変換する技術です。
OCRを使わずに書類をスキャンした場合、通常は画像データとして保存されるため、画像内の文字をテキストとして検索・編集できません。しかしOCRを使えば、画像内にある文字情報を自動で抽出し、編集可能なテキストデータとして活用できます。
AI-OCRとは
「AI-OCR」とは、従来のOCR技術にAI(人工知能)を組み合わせた文字認識技術のことです。
AIを活用することで、従来のOCRと比べて手書き文字や特殊なフォント、傾きやゆがみのある画像などにも対応しやすい点が特徴です。
AI-OCRとOCRの違い
AI-OCRとOCRの違いとして挙げられるのは、主に以下の3点です。
- AI技術を活用しているか
- 読み取りにくい文字へ柔軟に対応できるか
- 異なる形式の帳票(請求書や注文書など)に対応できるか
従来のOCRは、画像やPDFなどに含まれる文字を認識してテキストデータに変換する技術です。一方、AI-OCRはOCRにAI技術を組み合わせることで、手書き文字や読み取りにくい文字などにも対応しやすく、より柔軟な文字認識が可能です。製品によっては、文字の前後関係や文脈を踏まえて認識・補正する機能も備えています。
また、形式の異なる帳票(請求書や注文書など)に対応できるかどうかも、AI-OCRとOCRの違いです。従来型のOCRでは、情報を取得する列や仕分け先の項目などを、帳票ごとに設定しなければなりませんでした。一方、AI-OCRでは、AIを活用して帳票を識別したり、必要な項目を抽出したりできる製品もあり、事前設定の負担を軽減できます。
近年では生成AIを活用し、レイアウトが異なる帳票から文脈や意味を踏まえて必要な情報を抽出できるAI-OCRも登場しています。ただし、対応できる帳票や認識方法、事前設定の有無などは製品によって異なるため、導入時には自社で扱う帳票に対応しているか確認することが重要です。
AI-OCR導入のメリット
AI-OCRを導入する主なメリットは、以下の4点です。
- データ入力の作業時間を削減できる
- 人的ミスを減らせる
- データ管理や検索がしやすい
- ペーパーレス化やDX推進につながる
それぞれの内容を見ていきましょう。
データ入力の作業時間を削減できる
AI-OCRを活用すれば、紙やPDFの書類を自動で読み取り、手入力より短時間でデータ化できる可能性があります。
OCRなどの自動読み取り機能を使わない場合、紙や画像に記載された情報を手作業で入力・転記する必要があります。
AI-OCRで作業時間を短縮し、業務効率の向上が期待できる業務としては、物流業の受注書・納品書や製造業の検査報告書の読み取り、金融業の口座開設申請書類の処理などが挙げられます。
人的ミスを減らせる
AI-OCRを導入すると、データ入力時の人的ミスを減らせるでしょう。製品によっては、利用データや修正結果を学習に活用し、文字認識の精度を改善できるものもあります。そのため、たとえばこれまで起こりがちだった、打ち間違いや見落としといった人為的なミスが抑えられます。
AI-OCRでも、誤認識を完全に防ぐことは困難です。ただし入力作業を自動化することで、担当者は誤認識のチェックや修正に集中できるようになり、全体の精度向上にもつながります。
データ管理や検索がしやすい
AI-OCRを使って書類をデジタル化すれば、データの管理や検索がしやすくなります。紙のまま保管している場合は、必要書類を探すのに時間がかかってしまうでしょう。しかし、AI-OCRでデータ化し、文書管理システムなどに登録すれば、キーワード検索によって必要な書類を探しやすくなります。
また電子ファイリングソフトと連携すれば、分類や整理も自動化でき、業務効率がさらに向上します。過去データの活用や他部署との情報共有もスムーズになり、情報活用の幅が大きく広がるため、クラウド上でデータを共有できる仕組みと組み合わせれば、リモートワークにも対応しやすくなります。
ペーパーレス化やDX推進につながる
ペーパーレス化やDX推進につながることも、AI-OCRを活用するメリットの1つです。たとえばFAXや書面で受け取った文書をAI-OCRで読み取ったデータを電子保存し、その後の処理もデジタル上で行えば、印刷や紙での保管を減らせます。
さらに、デジタル化された情報は素早く検索・共有できるため、文書の検索や共有にかかる時間を短縮できます。
おすすめのAI-OCR製品10選
ここからは、対応帳票や機能、連携性などが異なるおすすめのAI-OCR製品10選を、概要や価格とあわせて比較します。
| 製品名 | 概要 | 価格 |
| CELF AI | 生成AIを活用し、PDFや画像の文字だけでなく文脈や意味を理解して必要な情報を抽出する | 【基本パッケージ】利用料金:年額210,000円(税抜)月額換算:17,500円(税抜) |
| DX Suite | 手書き文字や活字を高精度に読み取れる | 初期費用:0円または200,000円月額料金:40,000円(税抜)~ |
| SmartRead | AIを活用して活字・手書き文字を読み取り、さまざまな帳票をデータ化 | 年額360,000円(税抜)〜月額換算:30,000円(税抜) |
| DEEP READ | ディープラーニングを活用したAI-OCRで、手書き文字の読み取りを得意とする | 初期費用:0円月額費用:50,000円(税抜)~ |
| AnyForm OCR | 複数のOCR結果を照合する独自技術「WOCR」により確認作業を軽減できる | 利用料金:年額1,200,000円(税抜)~ |
| LINE WORKS PaperOn | AI-OCRと生成AIを活用し、請求書や注文書、レシートなどをデータ化 | 月額費用:36,000円〜(税抜)年額契約の場合:月額30,000円〜(税抜) |
| CaptureBrain | 画像補正後にAIで帳票を識別・仕分けし、活字や手書き文字をデータ化 | 初期費用:200,000円(税抜)月額費用:30,000~150,000円(税抜) |
| スマートOCR | 独自のAI技術を用いて、活字や手書き文字、非定型帳票を読み取る | 要問い合わせ |
| Foundry ToolsのDocument Intelligence(旧Azure AI Document Intelligence) | 文字だけでなく表やレイアウト、項目などを抽出して構造化できる | 従量課金制 |
| PATPOST | 請求書や見積書などをデータ化し、文書の保存・検索・共有まで一元化できる | 初期費用:0円月額費用:30,000円〜(税抜) |
※料金は2026年9月時点の情報です。最新の料金や契約条件は各製品の公式サイトをご確認ください。
それぞれの製品の特徴を解説します。製品導入の目的や業務内容に合わせて、自社に合ったツールを選ぶ参考にしてください。
1.CELF AI
「CELF AI」は、ノーコード・ローコードで、Excelに似た操作画面の業務AIアプリを開発できるツールです。生成AIを活用したOCRにより、文字情報だけでなく文脈や意味を理解して必要な情報を抽出できます。帳票(請求書や注文書など)ごとにレイアウトが異なる場合にも対応し、OCRで取得する項目を設定できます。
読み取ったデータは、業務で利用しやすい形式に整形・マッピングし、そのままCELFアプリへ反映できます。さらに、会計ソフトなどの基幹システムへの連携まで、一連の業務フローとして自動化することが可能です。
これにより、帳票の読み取りだけでなく、その後のデータ入力や集計・加工、基幹システムへの登録まで効率化できます。
CELF AIによるOCR事例
参考:CELF AI
2.DX Suite
「DX Suite」は手書き文字・活字・FAX・画像など幅広い書類を高精度に読み取れるAI-OCRで、レイアウトの異なる帳票や罫線入りの用紙にも対応可能です。
ディープラーニングによる継続的な精度向上も実現しており、学習を通じて識字率をさらに高められます。非エンジニアでも使いやすい仕様で、幅広い業種の企業から支持されています。
参考:DX Suite
3.SmartRead

「SmartRead」は、定型・非定型を問わず事前学習なしで文書をデータ化できるAI-OCRです。公式事例では、2,200枚の文書をデータ化する工数を、手入力と比べて約90%削減したケースが紹介されています。
AIによる自動仕分け機能も搭載しており、異なる文書を事前設定なしで分類できます。高精度な認識と操作のしやすさを兼ね備えた、業務効率化に貢献する次世代型のAI-OCRといえるでしょう。
参考:SmartRead
4.DEEP READ
「DEEP READ」は、ディープラーニングを活用したAIにより、高い精度での読み込みが可能なAI-OCRです。読み取ったデータはリアルタイムで画面に表示されるため、読み取り結果を確認しながら、次の作業を進められます。
画像をアップロードし範囲を指定するだけでスキャンが開始される、直感的な操作性も魅力です。
参考:DEEP READ
5.AnyForm OCR
「AnyForm OCR」は、AI型と非AI型の2種類のエンジンを搭載したAI-OCRです。公式サイトでは、独自技術「WOCR」によって信頼精度99.97%を実現したとされています。複数のOCR結果を照合することで、確認作業の負担を軽減できる点が特徴です。
参考:AnyForm OCR
参考:株式会社ハンモック
6. LINE WORKS PaperOn

「LINE WORKS PaperOn」は、AI-OCRと生成AIを活用して、紙やPDFの文字情報をデータ化できるサービスです。定型・非定型のさまざまな帳票に対応し、書類のアップロードからデータ化、確認・修正、システム連携まで一連の業務を効率化できます。
スマートフォンやメール、FAXなど複数の方法で書類を取り込めます。紙を扱う現場の業務フローを大きく変えずに導入しやすいのが特徴です。
7. CaptureBrain

「CaptureBrain」は、キヤノンマーケティングジャパンが提供するクラウド型AI-OCRサービスです。AIによる画像補正や文字認識技術を活用し、帳票から必要な情報をデータ化できます。
手書き文字と活字の両方に対応しており、読み取ったデータはCSVなどで出力可能です。
参考:CaptureBrainクラウド型AI OCRソリューション
8. スマートOCR

「スマートOCR」は、インフォディオが提供するAI-OCRサービスです。独自のAI技術により、文字の読み取りに加えて帳票のレイアウトや項目を認識し、必要な情報を抽出できます。
書式が異なる非定型帳票や複雑な表からも必要なデータを抽出でき、帳票の位置を事前に細かく定義する手間を軽減できるのが特徴です。
参考:スマートOCR
9. Foundry ToolsのDocument Intelligence(旧Azure AI Document Intelligence)

「Foundry ToolsのDocument Intelligence(旧Azure AI Document Intelligence)」は、Microsoft Azureが提供するAI文書解析サービスです。OCRによる文字認識だけでなく、表や項目など文書の構造も解析できます。
事前構築済みモデルに加えてカスタムモデルも利用でき、幅広い帳票処理に対応可能です。APIを利用してAIによる文書解析機能をアプリケーションや業務システムへ組み込みたい場合にも適しています。
参考:Azure Document Intelligence
10. PATPOST

「PATPOST」は、オリックスが提供するクラウド型の文書管理サービスです。請求書や見積書などをアップロードすると、AI-OCRで必要な情報を抽出してデータ化できます。
生成AIを活用することで、フォーマットの異なる文書や備考欄などからも情報を抽出できるのが特徴です。
AI-OCR製品を選ぶ際のチェックポイント
AI-OCR製品を選定する際に、押さえておきたいチェックポイントは以下の通りです。
- 文字を認識する精度は求めている水準か
- 読み取る予定の帳票に対応しているか
- 読み取ったデータのチェック・修正機能がついているか
各ポイントを確認しましょう。
文字を認識する精度は求めている水準か
AI-OCR製品を選ぶ際は、文字認識の精度が自社の求める水準を満たしているかを確認しましょう。製品ごとに読み取り精度には差があり、期待していた水準を満たしていないと、手作業での修正が増えてしまうでしょう。
たとえば、アルファベットや記号、手書き文字を多く取り扱う場合は、それらに強い製品を選ぶ必要があります。導入前に実際の認識率を確認し、自社が許容できる精度と照らし合わせて選定することで、業務効率化につながります。
読み取る予定の帳票に対応しているか
AI-OCR製品を選定する際は、読み取り予定のある帳票(請求書や注文書など)の種類に対応しているかを確認することも欠かせません。帳票には請求書や注文書といった「定型帳票」と、発行元などによってレイアウトが異なる「非定型帳票」があり、製品によって対応範囲が異なります。
仮に非定型帳票が多い業務であれば、それに強い製品を選ばないと手作業が発生してしまう可能性があるでしょう。業務効率化を実現するためには、自社の帳票の特徴と照らし合わせて適切な製品を選ぶことが重要です。
読み取ったデータのチェック・修正機能がついているか
AI-OCR製品を導入する際には、読み取ったデータのチェック・修正機能がついているかどうかも、押さえておきたいチェックポイントです。読み取り結果に誤りがあった場合、そのまま使うと業務に支障をきたします。
AI-OCR製品のなかには、確認が必要な項目のみを強調表示する機能や、専用オペレーターによる修正対応が可能なものもあります。自社にチェック体制がない場合でも、こうした機能を持つAI-OCRを選ぶことで、チェック・修正作業の負担を軽減できるでしょう。
AI-OCRから業務自動化まで対応する「CELF AI」

CELF AIは、生成AIを活用して業務を効率化するCELFのAI機能です。AI-OCRをはじめ、データ集計や類似データ検索などに対応し、CELFと組み合わせることで一連の業務フローの自動化につなげられます。
ここでは、CELF AIの主な機能とAI-OCRでできること、導入事例を紹介します。
CELF AIの機能とAI-OCRでできること
CELF AIには、生成AIを活用したAI-OCRのほか、次のような機能を搭載しています。
- データ集計エージェント:自然な言葉で指示してデータを抽出・集計できる
- 類似データ検索:過去のデータから似た情報を探す
- AIチャットボット:社内資料などをもとに回答する
これらのAI機能をCELFの業務アプリと組み合わせることで、帳票(請求書や注文書など)のデータ化に加え、蓄積したデータの集計・分析や情報検索、問い合わせ対応など、幅広い業務の効率化が可能です。
AI-OCRで取り込んだデータをその後の業務に活用できるため、個別の作業だけでなく、一連の業務プロセスの効率化につなげられます。
2026年8月からは高性能AIモデルが追加され、より高度な文章生成やデータ分析が可能になりました。また、1回あたりの処理可能データ量も2倍に拡大しており、ライセンス体系も月間200,000クレジットを標準提供するクレジット制へ変更されています。
CELF AIを活用した業務効率化の事例
AI-OCRとCELFを組み合わせ、請求書管理を効率化した事例があります。導入前は、FAXで受け取った請求書の内容をExcelへ手入力し、さらに集計する作業が必要でした。
そこで、AI-OCRによる請求書の読み取り機能とCELFを導入し、AI-OCRで請求書をデータ化したあと、CELFによって請求情報の集計も自動化しました。
その結果、手入力に伴うヒューマンエラーが大幅に削減されただけでなく、それまで人が行っていた集計作業自体も自動化されました。また、AI-OCRによるチェックによって請求書の誤りを早期に発見できるようになり、契約面の確認効率も向上しました。
AI-OCRのおすすめ製品を知り業務に活用しよう
AI-OCRはAIを活用したOCRを指し、手書きや非定型帳票にも対応できる高精度な文字認識技術です。データ入力の作業時間や人的ミスの削減、検索性の向上、ペーパーレス化といった多くのメリットをもたらします。
ご紹介したAI-OCR10製品は、それぞれ異なる強みを持ち、導入目的や業務内容に応じて選択することで、データ入力や確認作業の効率化が期待できるでしょう。
とくにCELF AIは、プログラミングの専門知識がなくても業務AIアプリを構築でき、PDFや画像からの文字情報をAIにより自動的に抽出し、さらに表計算機能を用いて抽出データをワンストップで集計・分析できる点が魅力です。業務効率化を目指す方は、ぜひお試しください。
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