会計ソフトのクラウド移行は、経理業務の効率化やデータ共有の円滑化を進めるうえで有効な手段です。一方で、オンプレミス環境で利用していた機能や周辺システムとの連携、過去データの移行などで問題が発生するケースもあります。
本記事では、奉行クラウドへの移行でよくある問題や、会計ソフトのクラウド乗り換え時に確認すべきポイントを解説します。既存業務への影響を抑えながら奉行クラウドへの移行を検討したい方は、ぜひ参考にしてください。
奉行クラウドへの移行でよくある問題

奉行クラウドへの移行は多くのメリットがある反面、既存システムとの連携などを十分に確認しないまま移行すると、問題が発生する可能性があるため注意が必要です。
ここでは奉行クラウドへの移行でよくある問題を解説します。
オンプレミスで開発した環境を再現できない
奉行クラウドへ移行する際は、オンプレミス環境で開発した独自機能をそのまま再現できない可能性があります。従来の奉行シリーズでは、自社の業務フローに合わせて帳票出力や入力補助、外部システム連携などを個別に作ることが可能でした。
しかし、クラウド環境では利用できる機能や開発・連携の方法が異なるため、既存の仕組みをそのまま移行できるとは限りません。移行後に必要な機能が使えない場合、手作業による補完や業務フローの見直しが発生し、負担が増えるおそれがあります。
併用しているシステムと連携できない
奉行クラウドへ移行することで、これまで自動化できていたデータ連携が止まるケースがあります。例えば、販売管理ソフトから会計ソフトへデータを取り込み、仕訳作成や確認作業に活用していた場合、移行後も同じ流れで処理できるか確認が必要です。
既存システムと標準のAPIで直接連携できない場合、CSVを出力して項目を並べ替えたり、不足している情報を手入力したりしてから取り込む作業が発生します。
入力方法が大きく変わってしまった
オンプレミス環境ではキーボード操作を中心に、伝票入力や検索、帳票出力を素早く処理していた場合でも、クラウド移行後はブラウザ上での操作が中心になることがあります。
画面構成やショートカット、入力補助の使い勝手が変わると、担当者が操作に慣れるまで作業時間が増える可能性があります。移行後の混乱を防ぐためにも、導入前に実際の入力画面や操作手順を確認し、現場の業務に支障が出ないかを検証しておくことが大切です。
すでにデータ容量がギリギリで移行が難しい
奉行クラウドへ移行する際は、現在利用しているデータ容量も確認しておくことが必要です。過去の伝票データや帳票データが多い場合、クラウド側へすべてのデータを移行できなかったり、移行後すぐに容量が不足したりする可能性があります。
また、データ容量に余裕がない状態で運用を始めると、将来的なデータ追加に対応しにくくなります。容量を増やすために上位プランや追加オプションが必要になる場合もあるため、移行前に必要なデータと保管のみでよいデータを整理しておくことが大切です。
参照専用ライセンスが多くコストが増える
奉行クラウドでは、情報の参照のみを行う利用者向けのライセンスが用意されています。入力や更新を行わない関係者にも必要な情報を共有しやすくなるため、経営層や部門責任者が会計データを確認する場面では便利な仕組みです。
一方で、会計データを参照する関係者が増えるほど、ライセンス費用も増加する可能性があります。買い切り型のソフトとは異なり、利用者数や利用範囲に応じて継続的な費用が発生するため、誰がどのデータを参照する必要があるかを事前に整理しておくことが大切です。
会計ソフト同士のデータ移行がうまくいかない
会計ソフト同士のデータ移行では、移行元と移行先のデータ形式が合わず、取り込み時にエラーが発生することがあります。例えば、CSVファイルの項目名や並び順、日付形式、改行の扱いなどが少し違うだけでも、想定どおりにデータを取り込めないケースがあります。
こうしたエラーが発生すると、原因の特定やファイルの修正、再取り込みに時間がかかり、移行作業そのものが進められません。伝票データやマスタデータの件数が多い場合は、特に修正作業の負担も大きくなるため、データ形式や移行手順の事前確認が重要です。
会計ソフトのクラウド乗り換え時に確認すべきポイント

会計ソフトをクラウドへ乗り換える際は、機能や料金だけでなく、既存業務への影響を事前に確認することが欠かせません。ここでは、奉行クラウドへの移行前に確認しておきたいポイントを解説します。
移行するデータの範囲を決める
会計ソフトをクラウドへ移行する際は、移行対象のデータを事前に決めておくことが必要です。過去の伝票や帳票をすべて移行しようとすると、データ容量が大きくなり、移行作業の負担やクラウド側のストレージコストが増える可能性があります。
そのため、日常業務で利用するデータ、確認用として残しておきたいデータ、保管だけでよいデータに分けて整理することが大切です。データ量が多い企業ほど、移行範囲を明確にしておくことで、容量不足や想定外のコスト増加を防ぎやすくなります。
移行後の業務フローを確認する
クラウド移行後は、入力、確認、承認、参照といった会計業務の流れが変わる可能性があります。オンプレミス環境では部門ごとにデータを共有したり、独自の承認ルートを設けたりしていた場合でも、奉行クラウド上で同じ運用を再現できるとは限りません。
移行前には、データ入力と確認承認のフローを誰が行うか、参照が必要な役職者を整理しておくことが大切です。参照者が多い場合は、奉行クラウド側で追加ライセンスが必要になる可能性もあるため、業務フローとあわせた確認が重要です。
周辺システムとの連携方法を確認する
会計ソフトは、給与計算システムや販売管理ソフト、経費精算システムなどと連携して利用されることがあります。奉行クラウドへ移行する際は、こうした周辺システムとデータ連携できるのかを確認しておくことが重要です。
既存システムとスムーズに連携できない場合、CSVファイルの加工や手入力による転記が必要になり、業務効率が低下する可能性があります。API連携への対応可否、CSVの形式などを事前に確認し、移行後の運用に支障が出ないよう準備が必要です。
既存のカスタマイズ機能を洗い出す
オンプレミス環境で奉行シリーズを利用している場合、自社独自の帳票や入力補助、集計機能などを作り込んでいるケースがあります。こうしたカスタマイズ機能は、現場では当たり前のように使われていても、クラウド移行後に同じ形で利用できるとは限りません。
事前に既存のカスタマイズ機能を洗い出し、業務上必須の機能なのか、標準機能で代替できるのか、別の仕組みで補完する必要があるのかを整理しておくことが大切です。
奉行クラウド移行にはCELFのAPI連携がおすすめ

奉行クラウドへ移行する際は、既存システムとの連携や過去データの管理、独自業務の再現方法まで含めて検討する必要があります。こうした課題に対応する方法として、奉行シリーズと連携できるCELFのようなツールを活用することで、対応できるケースがあります。
CELF Apps データレイクでさまざまな奉行シリーズと連携できる
CELF Apps データレイク for 奉行を活用すると、さまざまな奉行シリーズに蓄積されたデータをCELFデータレイクに統合し、集計・分析に活用できます。奉行クラウドだけでなく、従来の奉行シリーズとも連携できるため、クラウド移行前後のデータをCELF上で一元的に管理しやすくなります。
また、奉行クラウドへの移行時に既存システムとの連携が難しい場合でも、CELF側で連携が可能です。間にCELFを入れることで、手作業によるデータ成形などを行わずスムーズに連携できます。
さらに、CELF AIに搭載されたデータ集計エージェント機能を利用すれば、蓄積されたデータに対して自然言語で質問し、必要な集計結果を確認することも可能です。連携しにくいデータを一元管理できるだけでなく、データ活用まで進めやすくなる点が強みです。
オンプレミス環境をCELFで再現
オンプレミス環境で利用していた個別カスタマイズを、奉行クラウド上でそのまま再現できない場合でも、CELFを活用することで業務に必要な機能を再構築することができる場合があります。CELFでは、Excelなどの既存ファイルをもとに、独自の業務アプリをノーコードで作成できるため、現場で使い慣れた管理表や集計表を活かした運用を継続可能です。
会計ソフト本体だけでは対応しきれない集計や帳票作成、確認作業などをCELF側で補完することで、移行後の業務負担を抑えられます。
過去データなどの一部をCELF側に保管できる
奉行シリーズに蓄積された過去データは、CELF側に同期して保管することも可能です。日常業務で必要なデータだけを奉行クラウドへ移し、参照頻度の低い過去データをCELF側で管理することで、ストレージコストの軽減につなげられます。
また、奉行クラウドに蓄積された過去データもCELF側に同期できるため、クラウド側のストレージ容量が圧迫されている場合の保管先としても活用できます。利用頻度や参照目的に応じてデータの置き場所を整理できるため、移行後も柔軟なデータ管理を行うことが可能です。
複数人のデータ参照にコストがかからない
CELFでは、奉行シリーズと奉行クラウドの双方にある過去データを連携できるため、参照用のデータ基盤としても活用できます。経営層や部門責任者など、データを閲覧するだけの関係者がいる場合、必要な情報をCELF側で共有すれば、奉行クラウド側の参照専用ライセンス追加を抑えることが可能です。
コストを柔軟に管理しやすい点もCELFを導入する大きなメリットのひとつです。
奉行クラウドへの移行は事前確認が大切

奉行クラウドへの移行は、経理業務の効率化やデータ共有の円滑化につながる一方で、既存システムとの連携などを事前に確認しておくことが必要です。十分な準備をしないまま移行すると、手作業の増加やコスト増、業務フローの見直しが必要になる可能性があります。
移行をスムーズに進めるためには、移行するデータの範囲や周辺システムとの連携方法、既存のカスタマイズ機能などをあらかじめ整理しておくことが大切です。奉行クラウドへの移行に課題がある場合は、CELFを活用してデータ連携や過去データの管理、独自業務の補完を検討してみてはいかがでしょうか。
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