ローコードの業務アプリ開発とは、高度なコーディングの知識や経験がなくても、業務アプリを開発できるツールのことです。
本記事ではおすすめのローコード業務アプリ開発ツール5選やノーコード開発との違い、選び方を解説します。
ローコードの業務アプリ開発ツールとは
ローコードの業務アプリ開発ツールとは、高度なコーディングの知識や経験がなくても、最小限のコーディングのみで業務アプリを開発できるツールのことです。
たとえば、必要な機能をアイコンで選び、ドラッグ＆ドロップで配置するだけで業務アプリの開発が可能です。
ローコード開発が注目される理由
ローコード開発が注目される理由として、IT人材の不足や企業のDX（デジタルトランスフォーメーション）推進などが挙げられます。
ローコードツールなら、現場の担当者が直感的に操作してアプリを構築でき、従来の開発よりもスピーディかつ柔軟な対応が可能です。そのため、人手不足やシステム導入に必須なスピーディな意思決定に対応できるという観点からも、注目を集めています。
ノーコードとの違い
業務アプリ開発ツールにおける、ローコード開発とノーコード開発の違いは以下の表をご参照ください。
| 項目 | ローコード開発 | ノーコード開発 |
| コーディングの必要性 | 特定の部分のみ、コードの記述が必要な場合がある | 一切なし |
| 専門的な知識・スキル | 基本的に不要だが、多少のITリテラシーがあると安心 | 高度な知識・スキルは求められない |
| カスタマイズ性 | 自由度が高く、ノーコードに比べて柔軟な開発が可能 | 自由度はかなり制限される |
| 開発スピード | 比較的スピーディに開発できる | 非常に迅速に構築できる |
ローコードの業務開発ツールは主に3種類
ローコードの業務開発ツールには、以下の3種類があります。
- Web業務アプリ開発対応型
- プラットフォーム対応型
- オープンソースソフトウェア型
それぞれ異なる特徴があるため、自社の業務内容や開発体制にフィットしたものを選ぶことが重要です。
Webアプリ開発対応型
Webアプリ開発対応型のローコードツールは、Webブラウザ上で利用する業務アプリを手軽に構築できます。月額料金制が一般的ですが、ユーザー数に応じた柔軟なライセンス体系を採用しているサービスもあり、費用を抑えながら導入できるのが強みです。
プラットフォーム対応型
プラットフォーム対応型は、業務アプリの開発にとどまらず、その後の運用や管理まで一貫して行える点が魅力です。たとえば、社内のデータや業務フローをもとに業務アプリを構築し、そのまま稼働・改善まで対応できるため、運用効率が飛躍的に向上します。
オープンソースソフトウェア型
開発コストをできるだけ抑えたい場合には、オープンソースソフトウェア型のローコードツールの活用が有効です。ライセンス契約の範囲内で使用できる通常のソフトウェアと異なり、ソースコードが公開されているため、基本的に誰でも無償で利用・改良・再配布が可能です。これにより、手軽な業務アプリ開発を後押ししてくれます。
ローコードの業務アプリ開発ツールの基本機能
製品によって詳細は異なるものの、ローコードの業務アプリ開発ツールに搭載されている基本機能には、以下のようなものがあります。
| 機能カテゴリ | 概要 |
| ノーコードUI操作 | ドラッグ＆ドロップなど直感的な画面操作で、コードを書かずにアプリを構築可能 |
| カスタムコード編集 | 必要に応じてプログラムコードを加え、機能の柔軟な拡張や高度な処理が可能 |
| テンプレート活用 | 用途に応じた業務用テンプレートが用意されており、短期間で効率的にアプリを開発できる |
| ダッシュボード表示 | 複数の情報を一画面で可視化し、プロジェクト全体の進捗やデータをチームで共有・管理可能 |
| 外部システム連携 | APIなどを利用して他の業務システムやクラウドサービスと連携し、統合的な環境を構築できる |
| アプリの公開・配信 | 開発したアプリを社内外に向けて展開し、実運用フェーズへとスムーズに移行できる |
| ワークフロー構築 | 承認ルートや業務フローを柔軟に設定でき、紙ベース業務のデジタル化を促進 テンプレート活用 |
おすすめのローコード業務アプリ開発ツール5選
ここからは、各製品の特徴を踏まえ、おすすめのローコード業務アプリ開発ツール5選を紹介します。選定の際に参考となるポイントについても、確認しておきましょう。（※）
1.CELF
CELFは日本製で、専門知識がなくても使えるローコード業務アプリ開発ツールです。導入実績は1,100社以上にのぼります。Excelに似た画面と操作感のために、多くの現場担当者が無理なく開発に参加できるでしょう。
また、ビジュアルプログラミングという仕組みで、プログラミングの専門知識がなくても、ドラック＆ドロップなどの視覚的な操作だけで、Excelのマクロで作るような業務アプリの動的なロジックを組み立てられます。
RPA機能も活用できる点も強みで、日々の業務を効率化したい現場におすすめです。
参考：CELF
2.WebPerformer
WebPerformerは、短時間でPCやスマホ、タブレット端末などのマルチデバイス対応の業務アプリを自動生成できる、ローコードの業務アプリ開発ツールです。コーディングの自動化機能によって、品質の均一化が実現できる点がメリットといえるでしょう。
参考：WebPerformer
3.Kintone
Kintoneはリッチテキストや日付、チェックボックスなどの28種の豊富な入力パーツをドラッグ＆ドロップで組み合わせ、クラウド上で業務アプリを簡単に構築できるローコードの業務アプリ開発ツールです。
現場主導で柔軟に業務アプリを作りたい企業に適しています。JavaScriptによって、カスタマイズが可能です。
参考：Kintone
4.OutSystems
OutSystemsは、豊富なテンプレートやUIパーツを備え、業務アプリをスピーディに構築できるローコードの業務アプリ開発ツールです。フロントエンドとバックエンドを統一された言語で開発できるため、開発者は一貫したスキルセットで開発できます。
短期間で数多くの業務アプリを効率よくリリースしたい企業に適しています。
参考：OutSystems
5.Power Apps
Power Appsは、「Microsoft 365」や「Dynamics 365」の利用者であれば、追加コストなく使用できるローコードのアプリ開発ツールです。ブラウザやスマートフォン上で業務アプリを簡単に作成・運用でき、スムーズに導入できます。
参考：Power Apps
（※）ITreview掲載で口コミ件数が25件以上あり、満足度が高い製品を選定
ローコードの業務アプリ開発ツールのメリット
ローコードのアプリ開発ツールの主なメリットは、以下のとおりです。
- 業務アプリ開発の期間を短縮できる
- 開発コストの削減につながる
- 開発に携わるハードルが下がる
それぞれの内容を見ていきましょう。
業務アプリ開発の期間を短縮できる
ローコードの業務アプリ開発ツールによって、開発期間を大幅に短縮できます。あらかじめ用意されたテンプレートや設定された機能を使い、少ない手間で実装できるためです。
これにより、複雑なコーディングを省きつつ、必要な機能をスピーディに構築できます。迅速な開発が求められる現場では、大きな強みとなるでしょう。
開発コストの削減につながる
ローコードの業務アプリ開発ツールは、開発コストの削減に貢献します。専門性の高いエンジニアがいなくてもアプリ開発が可能になるため、人件費や技術研修などにかかるコストを最小限に抑えられます。
さらに、開発工数が減ることで、外部委託の必要も軽減され、結果として全体予算の圧縮が可能です。
開発に携わるハードルが下がる
開発に携わるハードルが下がる点も、ローコードの業務アプリ開発ツールを活用するメリットの1つです。エンジニア以外の、実務に精通した現場のメンバーの視点を活かしたアプリが作られやすくなります。
誰もが業務アプリの開発に携われるようになることで、チーム全体の創造力やアイデアが引き出され、より現場にフィットしたシステムを開発できるようになるでしょう。
ローコードの業務アプリ開発ツールの選び方
ローコードの業務アプリ開発ツールを選ぶ際は、以下の4点をチェックしましょう。
- 使い慣れた開発言語を使用できるか
- スプレッドシートやExcelに対応しているか
- AIの自動生成に対応しているか
- テンプレートの種類は豊富か
それぞれのチェックポイントについて解説します。
使い慣れた開発言語を使用できるか
ローコードの業務アプリ開発ツールは、使い慣れた開発言語を使用できるものを選びましょう。
ローコード開発では、基本的にコーディングの負担は軽減されますが、細かなカスタマイズには一部の記述が必要になります。そのため、自分たちが扱い慣れている言語に対応したツールを選ぶことが重要です。使い慣れた言語であれば学習の手間も減り、よりスムーズな運用が期待できます。
スプレッドシートやExcelに対応しているか
GoogleスプレッドシートやExcelに対応しているかどうかも、重要なチェックポイントです。既存のデータをそのまま利用できれば、開発初期の手間を大幅に省けます。
Excelの内容をアプリに反映させたり、入力データをスプレッドシートに自動保存できたりする機能があれば、業務効率が向上するでしょう。
AIの自動生成に対応しているか
AIの自動生成に対応したローコードツールを選ぶと、開発効率が改善されます。とくに、アプリの構想を会話形式で入力するだけで基本的な設計ができる機能は、初心者にとって心強いサポートとなるでしょう。
作業時間の短縮と品質の向上が両立できるため、限られたリソースで成果を出したい現場に適しています。
テンプレートの種類は豊富か
テンプレートの種類が豊富かどうかも、ローコードの業務アプリ開発ツールを選ぶ際にチェックすべきポイントです。
テンプレートを活用すれば、ゼロからアプリ開発を行う手間が省け、短時間で完成度の高いアプリが作れるため、開発スピードとコスト面の両方でメリットを得られます。
ローコードの業務アプリ開発ツールで効率化を図ろう
ローコードの業務アプリ開発ツールを使えば、最小限のコーディングのみで業務アプリの開発が可能です。
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