各店舗や業務部門ごとに乱立していたExcelを統合し
データ再入力の手間をなくした
タイムリーな情報把握で業務を効率化
株式会社チンタイバンク

業種: 不動産業・物品賃貸業
対象部署: 経営管理本部
対象業務: 賃貸仲介業における契約管理・営業日報管理
社内に乱立したExcelシートが業務遅滞の原因に

株式会社チンタイバンク
取締役専務 経営管理本部
本部長/IT推進室 室長
倉石 忠明氏
チンタイバンクは長野県の塩尻市と長野市に本社を構え、賃貸物件の仲介ならびに管理業務を専門とする不動産会社だ。2007年の創業以来、住まいに関する総合サービス事業を展開するミニミニグループのフランチャイズ加盟店として右肩上がりで実績を伸ばし、仲介件数・管理戸数ともに長野県内において業界トップクラスの地位を維持し続けている。
チンタイバンクは、積極的なIT活用に取り組んでいることも大きな特徴だ。同社の取締役専務であり経営管理本部 本部長/IT推進室 室長を務める倉石忠明氏は、「物件管理や顧客管理のシステム化を進めるほか、お客様向けにテレビ電話を利用したオンライン内見や、パノラマ写真を利用したVRでの内見など、より快適にお部屋探しができるサービスの充実化に注力しています」と語る。
ただ一方で、早急に着手したいと考えていたのが社内業務の効率化である。賃貸申込など契約情報を店舗ごとのExcelシートで管理しており、フォーマットにもばらつきがある状態だった。
また、営業担当者は日報を店舗ごとのExcelで入力しており、全体の成約件数や売り上げの集計は別のExcelで集計していたのが実情だ。同様に経理担当者も、売上や契約者からの入金、貸主への出金を別途Excel上で突き合わせて消込作業などを実施するほか、会計システムへ大量の仕訳データを手入力で登録していた。
「このように社内には何種類ものExcelシートが乱立しており、同じデータを何度も入力し直さなければならず、業務の遅滞やミスを招く原因となっていました」(倉石氏)
内製化を見据え現場主導で使える、Excelライクな操作を継承するCELFを採用
契約管理や営業日報管理にまつわる手作業を解消し、業務を効率化するため、同社が採用したのがCELFである。
「これまで当社がExcelを多用してきた理由は、業務で必要な帳票を現場主導で作れる点にありました。特定システムで固定されたレイアウトでは柔軟性に欠けるため、新しい帳票を自由に作成できる環境を提供したいと考えています。また、当社の社員はExcelを使った実績管理や数値の集計にも慣れています。こうした当社の要件に応え、Excelライクな使い勝手を継承できるツールを求め、数社の製品を比較検討した結果、CELFを採用することになりました」(倉石氏)
もっとも最初から内製でアプリ開発を行うことには不安もあり、同社はSCSKから紹介されたエヌ・エス・ケイ株式会社をパートナーとした開発体制を整えた。
「細心の注意を払ったのは、決して現場が以前よりも使いづらいシステムになってはならないことです。どうすれば店舗スタッフや営業担当者、経理担当者の手間を減らし、より便利に使ってもらえるのか。あるべき仕様をすり合わせするために、各業務部門とIT推進室、エヌ・エス・ケイの間で何度も打ち合わせを重ねてきました」(倉石氏)
データ再入力の手間をなくして大幅な工数削減を実現
チンタイバンクがCELF活用の第1フェーズとして、2022年9月から取り組んできた契約管理・営業日報管理のアプリ開発は約半年をかけて完成。2023年4月より本番運用を開始した。
「新システムをリリースすると同時に、各店舗や営業、経理の現場からは、『必要な数値が自動的にシステムにリアルタイムで反映されるようになり、手作業でデータを再入力していた手間が大幅に削減されて便利になりました』という喜びの声が寄せられました」(倉吉氏)
CELFを用いた契約管理・営業日報管理アプリによる大きな成果は、乱立していたExcelシートの統合だ。賃貸申込や営業日報などの情報がCELFに一元管理されたことによって個別の集計作業がなくなり、タイムリーな情報把握が可能となった。また、経理部門でもExcel上で行っていた入金や出金情報の照合と消込、会計システムと連携するための仕訳作成といった作業が自動化されている。こうした業務効率化によって、複数の現場では着実な工数削減が進んでいる。
「たとえば各店舗では、これまで各担当が1日あたり30分程度の時間をデータ再入力に費やしていたのですが、この非効率な作業を解消できました。チンタイバンクは長野県内に25店舗を展開しており、毎月の平均営業日数は26日ですから、それを鑑みると相当な工数削減をもたらすことが分かります。これによって生み出されたスタッフの工数を、お客様対応や物件案内など、より生産性の高い業務に振り向けることが可能となりました」(倉石氏)
さらに同社は、上記を業務効率化の第1フェーズととらえ、すでに第2フェーズにも着手し、消毒や鍵交換などの工事点検を委託している協力業者を対象とした発注業務のシステム化も完了。これによりFAXを用いた作業依頼や完了報告のやりとりをなくし、互いの行き違いをなくしてスピーディーな対応を実現するといった成果を上げている。
CELFの開発人材を育てて体制強化を図る
チンタイバンクでは、今後もCELFを使った効率化を段階的に加速させていく方針である。
「すでに着手している第3フェーズでは、賃貸の契約更新・解約・退去に関する業務を支援する新規システムの開発をはじめ、当社の取り扱い物件を一元管理するデータベースの整備、顧客管理システムの機能強化などを進めており、2025年度から順次リリースを行っていく計画です」(倉石氏)
さらにその先の第4フェーズでは、物件オーナーから委託された管理業務の効率化やサービス品質向上を目指したシステム構築を進めていく構想を描いている。
「賃貸ビジネス全般のDXに向けて、解決したい業務課題や実践したいアイデアはまだ数多く残っており、一歩ずつ着実に前進していきます」と倉石氏は語るとともに、「今後はパートナーに頼るだけでなく、社内でもアプリ開発に直接あたり、プロジェクトを主導していける人材を育て、体制を拡充させていきます」という展望も見据えている。
CELFを最大限に活用したシステムをアジャイルに展開していくことで、同社は強みとしてきた「集客力」「仲介力」「企画力」「情報力」「管理力」の5つの力の一層の強化を図り、業界内での競争優位性を高めていく考えだ。

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