ボトムアップによる業務改善プロジェクトでCELFを活用
成果発表会で全社に改善の機運を高め、管理職も活動を支援

スバル興産株式会社

業種: 不動産業・旅行業

対象部署: 全部門

対象業務: ワークフロー、システム連携など

業務改善をボトムアップで進めるためにCELFを導入

自動車メーカー「SUBARU」グループの一員であるスバル興産は、不動産事業・旅行事業を通じて社会やSUBARUグループに貢献するとともに、企業として持続的に成長し、従業員が生き生きと働ける会社を目指している。
常務取締役 事業管理本部長の福岡時記雄氏は、2014年にスバル興産に着任した際の印象について、「専門性の高い業務が多いだけに人事ローテーションが難しく業務が属人化しやすいと感じました。組織全体の強化、個人のキャリアアップを図るためにも、システム化による業務改善の必要性がありました」と振り返る。そこで、まずはトップダウンで会計システムや不動産管理システムといった基幹系システムの刷新に着手する。

常務取締役 事業管理本部長 福岡時記雄様
常務取締役 事業管理本部長
福岡時記雄 様

しかし、全社の業務改善という意味では、会計システムと不動産や旅行などの各個別業務システムの連携、さらには全社員の日常業務の効率化が必要となる。そう考えた福岡氏は、全社8つの部門から若手・中堅のメンバーを集めて「業務改善プロジェクト」を2019年に立ち上げた。さらに、システム面で相談できるパートナーとして、SUBARUグループをよく知るSCSKに相談を持ち掛けた。システム連携については、専用ツールを利用するという方法も検討したが、それではオーバースペックで費用がかかりすぎる。そこでSCSKが提案したのが、システム連携にも使えて、社員自身が内製で業務アプリケーションを開発できるCELFだった。

「CELFは汎用性が高く、各部門がExcelなどを使って手作業でやっていた業務をデジタル化し、見える化ができます。加えて、RPAも活用できて発展性も高いと感じました。ITに詳しくなくても使えそうでしたし、社員のITリテラシーの向上にも役立ちそうでした」(福岡氏)
ITの専任担当者を置かず、外部のシステムベンダーに依存することの多かった同社にとって、各部門の現場が自ら業務改善のためのアプリケーションを内製化できるCELFは、大きな期待がもてた。

日常業務の改善、システム連携を各部門で内製化

こうしてCELFの導入が決まり、前述の業務改善プロジェクトのメンバーが中心となって、各部門での日常業務の改善、システム連携の実現という2方向でCELFを活用することにした。とはいえ、自社だけでCELFを習熟していくのは容易ではない。そこで、SCSKとサポート契約を結び、業務改善の進め方、CELFの使い方をアドバイスしてもらうことにした。

グループ経営企画本部 情報システム部 浦辺 雅章 様
企画管理部 企画課 課長
米井聖晴 様

プロジェクトのリーダーを務めている企画管理部の米井聖晴氏は、「CELFの使い方という技術的な支援はもちろんですが、業務の洗い出し・現状分析・課題の抽出といった業務改善の進め方という面でのアドバイスがたいへん参考になりました」と話す。
日常業務の改善活動では、各メンバーが「自部門の業務を、まず1つCELFに置き換える」という目標を立ててCELFによるアプリケーション開発に慣れていくことにした。
具体的には、これまで個々が管理していたExcelを使用した台帳系の作業をCELFに置き換える、習慣的で担当者の判断を必要としない作業をRPA機能で自動化する、メールと添付ファイルで行っていた申請・承認作業の一部をワークフロー化するなど、部門ごとにテーマを決め、現在、12のアプリケーションが稼働している。また、旅行部門のメンバーは、同部門が使っている旅行業務システムと会計システムのデータ連携のアプリケーション開発にチャレンジし完成させた。
「工数を削減できることも大きなメリットですが、それ以上に、二重入力などによるミスを減らすことができ業務の質全体を上げられることがメリットだと感じています。また、そもそも業務アプリケーションをつくるには、これまでの仕事内容やプロセスを見つめ直して最適なプロセスやルートを組み立てる必要があります。CELFによる開発を経験することで、ロジカルに考えることができるようになったと感じます」と話す。

全社での取り組みの機運を高める成果発表会

業務改善プロジェクトが立ち上がったときに米井氏は、「有志による自発的なプロジェクトではなく、業務の一環としてやらなければ継続させること自体が難しいだろう。取り組み内容や成果だけではなく、まずはプロジェクトの活動そのものを会社には業務として位置付けし評価してもらいたい」という思いがあった。こうしたプロジェクト活動は、ともすれば参加していない社員や管理職にとって活動内容が見えづらく、メンバーが活動しづらいことがしばしばあるからだ。そのことを福岡氏にも進言し、メンバーには会社に提出する目標管理にも、プロジェクト活動を明記するよう提案した。
経営層もこれに応え、全社レベルの取り組みとするために、成果発表会を半年に1度のペースで開催することにした。「業務改善プロジェクトメンバーがやっていることを社内で正しく理解・評価し、役員を含めた管理者が当事者意識をもって支援者になることが大切だと考えました」(福岡氏)
発表会では、メンバーが所属する部署の部長が取り組みの概要を最初に紹介し、その後、メンバーがCELFで作成したアプリケーションをプレゼンするというスタイルをとった。部長自身が発表する側に回ることで、部長にとっても、メンバーの活動内容が自分事となる。
「発表会開催が定例化してくると、業務改善が進んでいる部署、進んでいない部署がわかってきます。進んでいない部署では、部長も加わって改善が遅れている原因を検討するといった動きも出るようになりました」(福岡氏)
こうして部長レベルの役職者が参加意識・支援者意識を持つことで、業務改革プロジェクトは一部のメンバーだけではなく、全社一丸となって取り組むべきテーマだという機運が生まれていった。

さらなる業務改善に向けてSCSKのサポートを期待

米井氏は今後に向けて、「これからもCELFを継続的に使って、現場の業務改善を図っていきたいと考えています。アプリケーション開発を内製化することで、仕事のやり方やプロセスが変わったときにも、自分たち自身でコストをかけず、素早く修正できます。よりCELFを浸透させるために、今後はスキルトランスファーにも注力していきたいと考えています」と意欲的だ。
また福岡氏も、「システム導入は目的ではなく、導入したシステムを定着させ、業務改善を進められるスタッフを増やし、社内を変えていくことが目的です。CELFの導入により、業務改善が日常的に必要なんだという機運ができてきました。SCSKさんには、よき伴走者として各部門に寄り添っていただきましたが、今後もCELFにとどまらず、業務改善のためのさまざまな相談に乗ってもらいたいです」と期待する。
経営層や役職者の理解・支援のもとで、各部門でのボトムアップでの業務改善を進めているスバル興産の事例は、多くの企業にとって参考になるに違いない。

企業情報

企業名スバル興産株式会社
業務内容
    自動車メーカー、SUBARUグループの一員として1965年に設立され、不動産事業と旅行業を中心に事業展開を行う。不動産事業では、株式会社SUBARU向けオフィスビル、社宅、寮など厚生施設の保有・管理のほか、ショッピングセンターやイベントホール・カンファレンススペースを運営。旅行サービス事業では、SUBARUグループ内外の出張・旅行のサポートのほか、独自ツアーも企画している。

導入事例