通販事業の定型業務を
CELFのRPA機能で自動化に挑戦
全社を巻き込んだRPA活用プロジェクトを通し、
業務プロセス改革を実践
アイリンクス株式会社
業種: 商社
対象部署: 通販事業
対象業務: データ加工・転記業務
通販業務における入力・転記作業が課題に
アイリンクス株式会社は、福岡県を地場に不動産・住宅事業を展開する三和グループの総合通信販売会社。主に健康関連の商品を企画し、オンラインショップ「ふくふく本舗」を通じて「アサイベリープラチナアイ」「ニガウリ508プラス」「くろずバモント」などの健康食品を販売している。また近年は、古民家レストラン「伊都安蔵里」、モンテッソーリ教育を取り入れた「ハピネス保育園」を運営するなど、地方創生事業や子育て支援事業にも力を入れている。
20年近くにわたって通販事業を営んできた同社では、ビジネスが拡大するにつれて、人手による入力・転記作業の多い業務プロセスを改善できないかという悩みを抱えていた。通信販売事業の責任者を務める同社 通販事業 課長代理の中山敏史氏は次のように話す。
「当社の業務は定型的な作業が多く、その大半を人手によって対応していました。そのため、どうしても作業に時間がかかり、人的ミスもしばしば発生していました」
IT業界出身の中山氏は、こうした課題を解決するために定型的な作業をロボティクス・プロセス・オートメーション(RPA)で自動化できないか検討したという。
ところがRPA製品の多くは大企業の業務効率化を目的につくられており、アイリンクスが求める作業の自動化には大掛かり過ぎる。もちろん、導入コストは非常に高額であり、とても予算内に収まらない。諦めかけていたときに、同社が利用する会計システムのベンダーであるPCAから紹介されたのが、RPAの機能を備えたSCSKの「CELF(セルフ)」だった。
シンプルで分かりやすく、コストも安価なCELFに注目
CELFのトライアルを実施した中山氏は、非常にシンプルで分かりやすい操作性に驚いた。そしてRPAだけでなく、CELFが備えるさまざまな機能がアイリンクスの課題解決につながると直感した。しかも、年間約21万円という驚きの安価さで、コスト面でも十分に手が届く。
「けれども実際に効果が得られるかどうかは、実際に使ってみないと分かりません。経営陣からは『単発で終わるのではないか』『本当に使うのか』といった疑問の声が上がり、結局『効果が見えない』という理由からCELFの導入を即断できませんでした」(中山氏)
しかし、現場で非効率な作業を目にしてきた中山氏は引き下がらなかった。約1カ月のトライアル期間中に中山氏自身が手を動かし、通信販売の日次売上データを自動的に取得して転記するなどのアプリケーションを何本か作成。経営陣と現場向けにアプリケーションのデモを披露した。そこで現場や経営陣の好感触を得たことから、まずはスモールスタートでCELFを導入することになった。
ただし、この時点ではCELFを利用してどんな作業を自動化するのかは決まっていなかった。それでも効果を信じ、先にCELFを導入して業務プロセスの改善につながる作業を探すことにした。
「そこで全社を巻き込んでRPAの導入を推進するために、『RPA大会』と銘打ったコンテストを実施することにしました。社内の現場スタッフ自身が困っていることに気付いてもらい、自動化できそうな作業のアイデアを募ることが目的でした」(中山氏)
CELFアプリケーション画面
RPA導入で転記業務が約30分から4分に
大幅な時間短縮に加え人的ミス解消を実現
アイリンクスでは、RPA大会を通じて集まったアイデアを具体的なアプリケーションに落とし込む前に、業務プロセス自体を根本的に見直すことにした。すると、そもそも必要のない作業が次々と明らかになった。それらの改善に取り組んだところ、結果的にRPAを使用しないケースもあった。中山氏はCELFを実際に使っていない業務でも、不要な作業を発見してプロセス改善につながったことを高く評価しており、「CELFの存在自体が大きな導入効果だ」と話す。
もちろん、CELFを使って作業を自動化するアプリケーションを作成したケースもある。顧客別平均単価を算出する業務もその一つだ。この業務はこれまで担当者が約30分の時間をかけて手作業で行っていたが、人的ミスが発生するリスクがあった。ミスが発生すると最初からやり直しになるため、担当者の精神的ストレスが大きかったという。CELFのRPA機能を適用したところ、業務の作業時間はわずか4分に短縮。作業時間の削減だけでなく、人的ミスのない正確な数字を算出できるという効果も得られている。
コールセンターの受注業務にもCELFのRPAの利用を検討
アイリンクスでは引き続き、CELFの導入によって効果が得られそうな業務プロセスを探っている。例えば現在、コールセンターの受注業務は、オペレーターが電話で受けた注文をExcelに入力し、それを本部担当者が毎日数時間かけて業務システムへ手入力するという作業が繰り返されている。こうしたプロセスの改善にCELFのRPAを利用すれば、大幅な時間短縮やミスの削減が見込める。
同様に間接部門の作業にも、RPAの適用を検討中だ。同社の間接部門は管理 リーダーの窪 伸也氏に仕事が集中するという状況で、業務改革が急務となっている。中山氏がトライアル期間中に作成したデモアプリケーションの中には、毎月末ごとに発生する支払・決済関連の入力作業を効率化するアプリケーションなど間接部門の業務効率化につながるものも含まれており、窪氏も早期の実用化に期待を寄せていると話す。
さらに将来的には、誰がいつ、どんな商品を購入したかというリアルタイムのデータを自動的に取得して可視化するといった仕組みをCELFで構築し、経営陣の迅速な意思決定や通販事業部門のプロモーションに役立てたいと考えている。アイリンクスのさまざまな業務においても、CELFが大きな力となっていきそうだ。
企業情報
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◆健康食品の企画・販売(オンラインショップ「ふくふく本舗」運営)
◆地方創生事業(古民家レストラン「伊都安蔵里」運営)
◆子育て支援事業(モンテッソーリ教育を取り入れた「ハピネス保育園」運営)