200人が共有する原価改善管理のExcel業務をCELFへ置き換え
現場のExcel転記作業を効率化して
利便性を向上したシステムを構築

豊田合成株式会社

業種: 製造業

対象部署: FC事業本部

対象業務: FC事業本部の原価改善管理

Excelを使った原価改善管理によりトラブルが多発

豊田合成株式会社 浅井氏
FC事業本部 FC企画部
FCグローバル収益管理室
浅井美鈴氏

豊田合成は、トヨタグループの中で合成ゴム、合成樹脂をベースとした自動車部品の製造を担う輸送機器メーカーだ。同社のFC事業本部は、FC=ファンクショナルコンポーネントと言われる機能部品を担当し、自動車の最も重要な部分である、「走る」「曲がる」「止まる」といった自動車の基本性能を支える燃料・ブレーキ関連部品などの製造を手がけている。
そんなFC事業本部内の組織であるFC企画部FCグローバル収益管理室では、収益向上を目的とした原価改善の統括管理などの業務を実施している。「原材料のリサイクル」や「製品検査の自動化」といった、各部署が立案した個々の原価低減テーマを取りまとめ、進捗管理や収益効果の集計といった一連の作業をすべてExcel上で実施してきた。
だが、利用するファイルは100を優に超え、その扱いについて現場でさまざまなトラブルが起こっていた。FC事業本部 FC企画部FCグローバル収益管理室の浅井美鈴氏は次のように振り返る。

「これまでは、多くのスタッフが共有フォルダー内のExcelファイルにアクセスし、各担当者が必要なデータを入力して原価改善管理を行っていました。また、新しい年度が始まるたびに管理表を作り変え、各担当者が作成したExcelファイル内の数値を集計用ファイルに集約するためにセルの変更やシートの追加を行っていました。その際、参照元が正しく反映されているか確認しなければならず、組織改編などがある場合は参照先の数式を修正する必要がありました。加えて、1つのファイルを複数のスタッフが入力することもあり、その度に複数のバージョンが発生するといったトラブルが起こっていました。さらに、ファイルが大きくなりすぎて動作が重くなることや、報告資料などに転記する際は様式の都合でほとんどがハンド作業になってしまうということも入力者の負担となっていました」(浅井氏)

豊田合成株式会社 吉澤氏
IT推進部 第2システム室
吉澤修子氏

しかし、こうした問題に対して、ただでさえ通常業務で忙しい情報システム部門が解決することは難しいのが実情だ。IT推進部第2システム室の吉澤修子氏はこう振り返る。

「原価改善管理以外にもさまざまな業務でExcelを使った作業が行われています。また、FC事業本部だけでなく、社内のあちこちの部門でExcelを多用して業務を進めています。全社的な業務効率化を図るためにも、早急な改善が求められていました」(吉澤氏)

before after 図

専門知識なしにExcelライクに使える操作性を評価

豊田合成株式会社 淺野氏
IT推進部 第2システム室
グループリーダー
淺野宣方氏

2020年夏、Excelを活用した情報共有を改善する取り組みがスタートする。IT推進部 第2システム室 グループリーダーの淺野宣方氏は、「当初は従来どおり、システムをゼロから作るスクラッチ開発で対応することを考えていました」と語る。

ツールの検討を進めた結果、スクラッチ開発で新しいシステムを開発する方法では、導入後にいくつかの問題があることが明らかになった。

「新たにシステム開発を行うにしても、導入後は操作を覚えるなど、学習の仕組みなどを整える必要があります。また、メンテナンスやちょっとした修正などの作業においても、ある程度のプログラミングの知識が要求されるため、ユーザー部門が気軽に修正することは難しくなります」(吉澤氏)

豊田合成株式会社 岸氏
FC事業本部 FC企画部
FCグローバル収益管理室
岸隼人氏

そこで、現場であるユーザー部門でも簡単に扱え、なおかつ将来的には現場でアプリ開発ができるような仕組みを導入するべきではないかという意見があがり、選ばれたのがCELFであった。

「使い慣れたExcel画面に近いものを導入すれば、現場も戸惑うことなく利用できると考え、CELFを選定しました。また、システムに使いにくい点があっても、情報システム部門に頼まなければ直せないとなると、Excelから置き換える意味がありません。プログラミングの知識がなくても、現場担当者自らがアプリケーション開発と手直しが行えるノーコード開発という側面もCELFの選定理由になっています」と、FC事業本部 FC企画部 FCグローバル収益管理室の岸隼人氏は、選定理由を話す。

転記作業の削減が見込める原価改善管理システムへの期待度が高まる

豊田合成株式会社 今津氏
IT推進部 第2システム室
今津早妃世氏

まずCELFで作ったのは、従来のExcelベースでの機能を完全に置き換えた上でその実績評価や集約作業を簡便化した「原価改善管理システム」だ。実際にアプリケーションの開発を手がけた IT推進部 第2システム室の今津早妃世氏は次のように振り返る。

「週に一回、メンバーと相談しながら、搭載すべき機能を検討していき、画面作りを進めました。これまでExcelでの作業で大きな負担となっていたのが、転記作業が多いことでした。システムにデータベースが搭載されていれば、わざわざ同じ数値を転記することなく、一度記入した数値を自動的に表示することができると考え、機能の実装を目指しました」(今津氏)

転記は、作業負担が大きいだけでなく、誤った転記を行ってしまった場合、手戻りが起こりがちになる。この課題を解決することで大きな改善効果が期待できるため、IT推進部では転記作業の自動化に取り組むことにした。

「現在はExcelで行っていた作業の移管を進めています。新しいシステムなので、特に現場では導入時に若干の混乱が見られましたが、見た目がExcelに近いことや、これまで困っていた転記作業の負荷低減につながるという明確なメリットがあるため、新たなツールとして受け入れられつつあります。」(浅井氏)

現在、原価改善管理システムの利用について、徐々に業務を移行している過程であるため、CELFの効果が出てくるのはまだ先のことになる。しかし、FC事業本部の主導のもとで説明会を開催することで、社内での利用が促進され、結果として原価改善管理の効率化や利便性の向上が実現すると期待しているそうだ。
「新システムを利用することで作業負担が少なくなることが周知され、新しいシステムでの入力作業に慣れてくれば、業務効率が大幅に向上し、スタッフ業務の効率化に寄与できるのではないかと思っています」(浅井氏)

豊田合成株式会社様導入事例:CELF業務アプリ画面。Excelで管理していた時は転記作業が多かったがCELFを使った新システムでは転記作業が自動化されるため作業負荷が軽減した。

CELF利用拡大によるアプリ開発の民主化を目指す

IT推進部では、CELFを使った新システム利用者が増加していくことで、FC事業本部以外の別部署でもCELF利用のリクエストが出てくるのではないかと期待している。 「実は他の部署からは、Accessを使って開発したシステムが老朽化し、分かる人が不在でメンテナンスができないので、作り直して欲しいというという要望が上がっていました。他のExcelの置き換えとともに、こうしたシステムのリニューアルをCELFで進めていきたいと考えています」(淺野氏)

さまざまな部署への波及効果をあげていくためには、今回導入された原価改善管理システムの利用が定着し、成果を上げることが鍵となる。2023年以降は社内での周知を徹底していく計画だ。

「将来的には、ユーザー自身でアプリ開発ができるよう人材育成し、課題解決ができる体制を作っていきたいと考えています。IT推進部がそのための支援も行っていきます」(淺野氏)

豊田合成株式会社様導入事例:集合写真。左から今津氏、吉澤氏、浅井氏、岸氏、浅野氏

企業情報

企業名豊田合成株式会社
業務内容
    1949年に誕生した、トヨタグループの非金属部門の中核となる企業。合成ゴムと合成樹脂を中心に、品質と機能性の高い自動車部品を製造している。使用している主要材料と新しいものを生み出すことを理念として、社名に「合成」を用いている。

導入事例