ブラックボックス化したExcel処理から脱却し、
請求書業務の属人化解消と大幅な工数削減を実現
駿河シッピング株式会社
業種: 運輸業・郵便業
対象部署: 総務・経理部
対象業務: 顧客とやり取りする請求書業務全般
ブラックボックス化したExcel管理が招く属人化とデータ消失リスク

駿河シッピング株式会社
代表取締役社長
加藤 貴司氏
静岡県清水港を拠点とする駿河シッピングは、鈴与グループの一員として船舶代理店業を営む企業だ。アジア系大手コンテナ船社会社の日本総代理店のサブエージェントとして、清水エリアにおける港湾関連業務を担っている。
そんな同社の事業を支えるバックオフィス部門には、さまざまな課題が顕在化していた。なかでも問題視されていたのは、請求書に関する処理である。
同社 代表取締役社長の加藤 貴司氏は、「請求書はExcelを使って発行・管理していたのですが、ファイルは12分割されており、それぞれに複数のシートが存在します。さらに、その裏側では作成者不明のマクロが動作しており、どの請求書が、どこに格納されているのかもわからない状況でした」と振り返る。

駿河シッピング株式会社
総務・経理担当
真田 美希氏
社内でこのExcelの操作を習熟しているのは、総務・経理担当の真田 美希氏たった一人という、属人化した運用が長年続いていたのである。しかも真田氏の勤務日は、週3日(月・水・木)に限られていたため、もし同氏不在の際に顧客から請求に関する問い合わせを受けた場合、即答するのは困難だったという。
加えて同社は、データ保護の面でも大きなリスクを抱えていた。請求書関連のExcelファイルはNAS(ネットワーク接続ストレージ)上で管理していたが、バックアップを行うのは夜間バッチのタイミングのみだったのである。「要するに日中の時間帯に経理のPCに物理的な障害が発生した場合、前日までのデータしか戻すことができません。この不安はいつも頭から離れませんでした」(加藤氏)
グループ会社の提案を機に請求書業務をCELFでアプリ化へ

駿河シッピング株式会社
営業部
中田 シンチャ 金城氏
これらの課題解決に向けた動きが始まったのは2025年4月のこと。グループ会社の鈴与商事から寄せられた1本の連絡が転機となった。
「当社ではさまざまな定型業務を自動化するRPAの基盤として、すでにCELFのオプション機能であるCELF RPAを導入・活用しています。このシステム化をサポートしていただいた鈴与商事から、『オプション機能だけなく、CELF本来の基本機能を活用して、Excelに依存している業務をアプリ化しませんか?』と打診されたのです。私たちにとっては、まさに渡りに船の提案でした」(加藤氏)
実はこのとき鈴与商事が想定していたのは別の業務のアプリ化だったのだが、その後の協議を重ねるなかで軌道修正が行われた。
営業部の中田 シンチャ 金城氏は、「鈴与商事からCELFの基本機能を使った予算実績管理のデモを紹介していただいたのですが、加藤社長から『それよりも先にやりたいことがある』という強い要望があり、請求書業務の課題解決を最優先で進めることになりました」と振り返る。
月末集計が3時間から30分に短縮され、正確性向上と属人化改善も実現
請求書業務をCELFでアプリ化するプロジェクトは、2025年8月にキックオフ。鈴与商事がプロトタイピングを担当し、駿河シッピング側のメンバーと検証を繰り返すアジャイル手法のもとで、アプリ開発は進められた。
「真田さんへのヒアリングを通じて業務内容を解明していく作業に、最も時間を要しました。Excelのマクロや関数の動作を一つひとつ確認しながら、船舶代理店ならではの専門用語や英文インボイス、速報明細といった複雑な業務フローを鈴与商事に説明していく作業は、思った以上に大変でした」(シンチャ氏)
こうしたハードルを乗り越え、プロジェクト成功へと漕ぎつけた背景にあったのは、両社の緊密な連携である。「3週間に一度の定例会だけでなく、気になった点や不明点、新たな要望などを随時記入できる課題管理表を双方で共有するなど、日常的にもコミュニケーションを重ねてきました。さまざまな疑問を後回しにすることなく、すぐに解消するよう努めたことが、プロジェクトのスムーズな進行につながったと思います」(シンチャ氏)
「鈴与商事はプロジェクトのかなり早い段階から、実際に試すことができるアプリのプロトタイプを提供してくれました。おかげでアプリの操作感をしっかり掴んだうえで、実際の業務フローに即したフィードバックを継続的に行うことができました。このやり取りを通じて、請求書に関する課題を解決していきました」と真田氏も続ける。
2025年12月に完成し、稼働したCELFアプリによって、請求書業務は劇的に効率化された。最も顕著な変化は業務時間の短縮だ。
「例えば月末の入金集計など、従来は3時間くらいかかっていた作業が、現在は30分程度に短縮されました。この大幅な工数削減に加え、経理担当として何よりも嬉しいのは、データの入力ミスが激減して正確性が向上したことです」(真田氏)
従来のExcelによる請求書管理では、複数のファイルやシートが分散した複雑な構造ゆえに注意書きや手動確認が必要だったが、CELFアプリではすべてのデータをクラウド上で一元管理することで、入力漏れや転記ミスが根本的に排除されたのである。あわせてデータ保護のレベルも格段に向上している。
社内でのヒアリングを通じてプロジェクトを支えたシンチャ氏も、「CELF導入により、二重・三重の入力作業がだいぶなくなり、入力業務の効率化が実感できています」と効果を語る。
さらに、請求書に関する業務フローがCELFアプリによって可視化されたことで、属人化の問題も大きく解消された。
「必要な請求書をいつでも、すぐに確認できるとともに、このアプリ自体も全社で共有されているため、誰でも対応することが可能です。真田の非出勤日にお客様から問い合わせを受けた場合でも、お待たせすることなく回答できるようになりました」(加藤氏)
予算実績管理や見積書作成などが次のアプリ化のターゲット
同社は今回の取り組みから得たこれらの成果を踏まえ、まだ社内に数多く残っているExcelに依存した非効率な業務の棚卸と、CELFによるアプリ化を進めている考えだ。例えば、鈴与商事が当初に提案していた予算実績管理や、営業担当者が個人単位で行っている見積書作成などの業務が、主なターゲットとして浮上している。
「複雑なアプリについては引き続き鈴与商事に開発を依頼しますが、シンプルなアプリについては内製にもチャレンジしたいと思っています」と加藤氏は語り、あらゆる業務で積極的なCELF活用を進めていく方針だ。






