データ転記に費やしていた煩雑な作業を効率化し
備品の在庫管理も数量把握の精緻化とスピードアップを実現

株式会社ひだホテルプラザ

業種: 宿泊業,飲食サービス業

対象部署: 総務管理部用度課

対象業務: 食材や各種備品・消耗品の発注/受領、リネン類の管理

データを何度も転記し直す非効率な作業がさまざまな場面で発生

岐阜県高山市のひだホテルプラザは、JR高山駅から徒歩5分の便利な立地や、自家源泉による多彩な温泉施設、和室・洋室・和洋折衷室の豊富な客室タイプなど、国内外の観光客から人気を集めている。飛騨地方の旬の食材を活かした料理にもこだわっており、なかでも飛騨牛を使った料理は絶品だ。

株式会社ひだホテルプラザ 尾関 文規氏
株式会社ひだホテルプラザ
総務管理部用度課 主任
尾関 文規氏

そんなひだホテルプラザの運営に欠かせない、食材や各種備品・消耗品の発注/受領、リネン類の管理などを一手に担っているのが総務管理部用度課である。しかし、その業務の多くが担当者の手作業に依存していたのが実情だ。

同課 尾関 文規氏は、「PCベースの販売管理・仕入・在庫管理パッケージを利用していますが、たとえば仕訳データ作成をする際に、紙の納品書に記された必要項目を手作業で入力し、請求書の内容と目視で突合しなければなりません。そのうえで請求書の原本に鏡(※勘定項目を手書きで付記した表紙)を添付し、経理部門に渡します。受け取った担当者は、そのデータを別の会計システムにあらためて手作業で転記するといった非効率な作業が、業務のさまざまな場面で発生していました」と振り返る。

データ連携の柔軟性などを評価しCELFを選定
リアルタイムで在庫数を把握するためにCELF BrowserAccessを適用

煩雑な手作業は業務の遅滞を招くとともに、さまざまなケアレスミスを起こす原因にもなる。この課題の解決策を模索していたところ、懇意にしていた仕入れ業者から紹介されたのが、SCSKの「CELF」である。

「既存の販売管理・仕入・在庫管理パッケージや会計システムで不十分だったデータ連携を補い、人手による転記を極力なくしていくため、オープンソースのデータベースを導入して自分なりに試し始めていた頃でした。とはいえITの専門知識やスキルを持っているわけではなく、手探り状態で日々苦労の連続です。そうした中でSCSKから説明を受けたCELFは、ノーコード/ローコードでテーブルデータを処理できることがわかり、これなら何とかなると考えました」(尾関氏)

こうして同社は、2021年11月から約3か月間をかけてCELFのトライアルを実施。SCSKのサポートを受けながら、テーブル定義の方法などを習得してきた。

「おかげでCELF上に同期したマスターから目論見どおりのデータを出力し、販売管理・仕入・在庫管理パッケージや会計システムと連携できるようになりました。この成果に自信を掴んだことで、CELFの正式導入を決めました」(尾関氏)

さらに同社は2024年10月、Web ブラウザから利用できるアプリケーションを開発できるオプションサービス「CELF BrowserAccess」(旧CELF Anywhere)を追加導入している。

同社は各客室に配備するミネラルウォーターのペットボトルを、ホテル内に点在する倉庫でそれぞれ保管しており、欠品を起こさないためには、在庫数が一定の数量を下回った際に取引業者に対して早急に発注をかける必要がある。しかし、この在庫管理もこれまでは人手に依存していたのが実態だった。従来は倉庫からミネラルウォーターを持ち出したサービススタッフから手書きのメモなどで個別に申告された数量を用度課で集計し、販売管理・仕入・在庫管理パッケージに入力して現在の在庫数を管理していたという。

「申告の遅れや集計し忘れ、数量の間違いなどが日常的に発生するため、私たちが把握できている在庫数と実際の在庫数は必ずしも一致しません。気づいたときには底をつきそうな状況になっており、あわてて発注をかけることもありました。多忙なサービススタッフに負担をかけることなく、便利に利用することができ、より迅速かつ正確に在庫数を把握できるWebアプリをCELF BrowserAccessで開発したいと考えました」(尾関氏)

データの転記作業に費やしていた時間を大幅削減

別途導入した請求書を電子化するシステムや、販売管理・仕入・在庫管理パッケージのバージョンアップといった取り組みと歩調を合わせ、CELFを活用したデータ連携が進んだことで、同社の業務は大きく効率化されている。

「用度課と経理部門の双方で、データの転記作業に費やしていた時間を大幅に削減することができました。実はその過程では、元々4人いた用度課のメンバーのうち2人のベテランが退職してしまうという危機的な事態もあったのですが、CELFによるデータ入力の自動化が進んだことで、なんとか無事に乗り切ることができました」(尾関氏)

CELF BrowserAccessについては、ミネラルウォーターを取りにいったサービススタッフが倉庫内に貼付されたQRコードをスマートフォン・タブレットのカメラで撮影することで、入力フォームが自動的に立ち上がる仕組みとなっており、操作するスタッフも簡単に使えるように工夫されている。

「サービススタッフは、倉庫から持ち出したミネラルウォーターの本数をその場で入力するだけで申告作業は完了します。データはすぐに販売管理・仕入・在庫管理パッケージに反映されるため、用度課では常に正確な在庫量を把握しつつ、適切なタイミングで発注をかけられるようになりました」(尾関氏)

なお、前述したように一時的にメンバーが2人まで減ってしまった用度課だが、2025年4月に新たなメンバーが1人加わったことで、現在は3人体制となっている。

「この新人に対する教育にしっかりリソースを割くことができるのも、業務の効率化・自動化があってのことです。また、CELFを使った運用はITの専門知識が問われないため、教育コストが低い点もCELF導入のメリットになっています。私たちのように少人数で業務を回しているチームにとって、CELFおよびCELF BrowserAccessは、なくてはならないツールとなっています」(尾関氏)

CELF BrowserAccessを通して手元のタブレット及びモバイル端末からミネラルウォーターの在庫数を入力、管理

生成AIやAIエージェントを活用したユーザー支援を積極的に検討

今後に向けても同社は、さらなる業務の効率化を追求していく考えだ。新たなテーマとして見据えているのは、CELFやCELF BrowserAccessによって開発された各種アプリケーションのUI向上である。

「私たちのようなサービス業にとって、総務や経理などのバックオフィス部門のスタッフといえども、PC操作に不慣れなケースがよくあります。したがって可能な限り少ないタッチ数で必要なデータを入手してアプリケーションを操作し、担当業務のオペレーションを回せるようにすることが重要です。この課題を解決するために、たとえば生成AIやAIエージェントの活用も検討しています」(尾関氏)

SCSKのサポートにも大きな期待を寄せつつ、同社は次のステップへと進み始めた。

導入Before After

企業情報

企業名株式会社ひだホテルプラザ
業務内容
    1972年に創業し、飛騨高山エリアでは長い歴史を誇るホテルの一つ。JR高山駅から徒歩5分の立地もあって宴会のニーズも高く、飛騨高山が世界的にも注目される中で、近年は外国からの宿泊客も増えている。

導入事例