生活習慣病の検査・診療を支えるアプリを自作し
煩雑な紙とExcel管理からの脱却を実現

きむら内科・内視鏡クリニック

業種: 医療

対象部署: 内科、内視鏡内科、消化器内科

対象業務: 生活習慣病の検査・診療

200人超の生活習慣病患者の管理を紙とExcelで運用、 記載漏れや確認ミスのリスクも

きむら内科・内視鏡クリニック 院長 木村 佳人氏
きむら内科・内視鏡クリニック
院長 木村 佳人氏

兵庫県西宮市にあるきむら内科・内視鏡クリニックは、その名のとおり内科・内視鏡内科・消化器内科の医療を担う地域に密着したクリニックだ。生活習慣病から胃カメラ・大腸カメラによる内視鏡検査、発熱や風邪などの急性期疾患まで、幅広い診療を行っている。

しかし、その対応は容易ではない。同院に通院している生活習慣病の患者は200人を超えており、患者ごとに受診間隔や検査スケジュールが異なるのだ。

院長の木村 佳人氏は、「当初は紙の台帳を使って、一人ひとりの検査スケジュールや結果の管理、診療の事前検討(予習)などを行っていましたが、どうしても記載漏れや確認ミスが避けられず、患者への案内が遅れてしまうおそれがありました」と振り返る。

もちろん、電子カルテにも検査スケジュールを管理する機能はあるが、国によって仕様が厳格に定められているため、現場に合わせた柔軟なカスタマイズができないのが悩みだった。 そこで木村氏は、代替策としてExcelやGoogleスプレッドシートを利用することも検討したのだが、これも実行には至らなかった。
「200人を超える患者ごとに作成したシートを、個別に開かなければ内容を確認できないなど、検索・閲覧に多大な手間と時間を要します。外来も混雑している状況下で、こうした対応は現実的ではありません。また、管理項目を見直した際にすべてのシートを修正する必要が生じることや、データの破損リスクが高いといった問題もあり、ExcelやGoogleスプレッドシートによる管理は断念しました」(木村氏)

帳票デザインの自由度とExcelライクな操作性がCELF採用の決め手に

この課題解決を目指して木村氏が向かったのが、データベース機能を備えた専用アプリの内製である。インターネットを通じてさまざまなノーコード開発ツールを調査し、実際にいくつかの製品を取り寄せて試用してみた。

その結果として採用を決めたのが、ノーコード・ローコード開発ツールのCELFである。
「決め手となったのは帳票デザインの柔軟性です。アプリから印刷した帳票をそのまま患者に配布したいと思っていたため、デザインを自由にカスタマイズできることが重要でした」(木村氏)

また、プログラミング知識がほぼ不要で使いこなせると感じたのも魅力だったという。
「プログラミングコードを記述しなければならない他社製品が多い中で、CELFはビジュアルプログラミングで作れる手軽さがよかったです。さらにExcelの関数なども使えるところも魅力的でした」(木村氏)

もともとExcelの関数の扱いにも習熟していた木村氏にとって、CELFは感覚的にも最もフィットするサービスだったのである。

SCSKが用意するコンテンツとサポートを活用し、操作性を考慮したアプリを自作

2025年10月に開始したトライアル期間中から、SCSKが提供している動画教材やオンライン講座なども活用しながらCELFへの理解を深めたほか、SCSKとのオンライン相談会を通じて疑問点を解消し、集中的に開発スキルを習得した。その後、11月にCELFを正式導入した木村氏は、同年末までの実質わずか1ヶ月ほどで生活習慣病の検査管理アプリを自身で完成させている。

患者の基本情報(ID、生年月日、年齢、性別など)をはじめ、身長・体重・血圧の推移、疾患情報(糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症など)、血液検査結果(血糖値、ヘモグロビンA1c、尿酸値、LDL、HDL、中性脂肪)、胃・大腸カメラ、腹部・頸部エコー(超音波検査)などの月単位の検査予定まで、主要データを一元管理する専用アプリだ。 さらに患者ごとの画面には、受診月のチェックリスト、書類交付のタイミング、血液検査の間隔、検査予定などが一覧表示される。入力されたデータから、今後10年以内に予測される脳梗塞や心筋梗塞のリスクや改善目標値を自動計算する仕組みも実装した。印刷ボタンを押すと、検査結果や療養計画書もすぐに出力される。

「以前から『こうしたい』と思っていたことが、すべてCELFで実現できました。目標を達成できたことに、とても満足しています」と、木村氏は笑顔で語る。

開発した生活習慣病の検査管理アプリは2026年1月より本格運用を開始したが、ここで重要な鍵を握ったのが、徹底した事前準備である。
「当院の看護師や職員は年齢層が高いこともあり、ITに抵抗感を持つ人が少なくないことから、丁寧な説明会を実施しました。また、アプリの使い勝手に関して現場の意見を聞きながらUIを改善するなど、ブラッシュアップを重ねてきました」(木村氏)

こうして現在、同院では下図のような業務フローが確立されている。

CELFを使った業務フローのイメージ

検査計画の一覧把握で診療の質が向上し、患者とのコミュニケーションも円滑に

結果として、同院では医師と看護師双方の負担が軽減され、診療の質も向上している。
「CELFの導入により、患者1人あたりの事前確認時間は従来の約5分から約3分に短縮されています。これは1日平均で約40分の時間削減となります。また、患者ごとの検査計画を記憶に頼ることなく、アプリ上で正確に一覧把握できるようになり、診察時の説明もスムーズになりました。おかげで療養方針に対する理解を得やすくなるなど、患者とのコミュニケーションでもプラスの効果があらわれています。さらに看護師側でも問診に用いていた紙の予習シートが不要となり、急な来院や予約変更にも柔軟に対応できるようになるなど、クリニック全体の業務効率が向上しています」(木村氏)

こうした全方位での成果が得られたのは、解決すべき課題を明確に見定め、それを実現するアプリを自ら作り上げてきたからに他ならない。

木村氏は、「定期的な健康診断のデータの管理機能と帳票出力機能、健診結果の自動判定機能を備えたアプリを作り、業務を効率化したいと考えています」と語り、より広範囲なCELFの利用拡大を見据えている。

検査管理アプリの画面イメージ

企業情報

企業名きむら内科・内視鏡クリニック
業務内容
    消化管(食道・胃・大腸)をはじめ、肝臓、膵臓、胆嚢、胆管の幅広い疾患の診療を行っている。「仕事が休みの日曜日にこそ病院に行きたいのに開いているクリニックがない」という声に応えて土日も診療を行い、兵庫県西宮市を中心とした地域医療に貢献している。

導入事例