地域福祉に寄り添う「有償ボランティア」を展開
CELF活用で叶える高速・柔軟なアプリ開発

社会福祉法人 俱知安町社会福祉協議会

業種: 医療,福祉業

対象部署: 有償ボランティア事業

対象業務: レシーブ会員とサポート会員のマッチング

高齢化の進展を見据えて始動した有償ボランティア事業

俱知安町社会福祉協議会 森下 将也氏
俱知安町社会福祉協議会
在宅福祉課 課長
森下 将也氏

倶知安町社会福祉協議会は、北海道虻田郡倶知安町を拠点とし、地域住民の福祉向上を目的として活動する半官半民の社会福祉法人である。住民一人ひとりが安心して暮らせるよう、多様な福祉サービスや支援を提供することが主な活動だ。

ただ、多くの地方自治体の例に漏れず俱知安町でも人口流出が進み、住民の生活や福祉課題も多様化している。そうした中で同社協が2024年4月に新たなサービスとして開始したのが、有償ボランティア事業である。同社協 在宅福祉課 課長の森下 将也氏は、その狙いを次のように説明する。

「介護保険制度では対応できない高齢者の細かいニーズに対応するもので相互扶助の関係を保つことを目的としています。無償を原則とした従来のボランティアとも違って、レシーブ会員(利用者)から少額の利用料を得ることで、サポート会員(ボランティア)の負担を軽減するとともに、一部を保険料などの経費に充てることで持続的な活動を実現しています」

有償ボランティアの活動は多岐にわたっており、家事支援や外出支援、ゴミ出し、病院同行、話し相手のほか、豪雪地帯である倶知安町の特性から、除雪活動などでも重要な役割を果たしている。

将来的な内製運用を見据えExcelライクに操作できるCELFを選定

もっとも有償ボランティア事業を運営するとなれば、レシーブ会員とサポート会員のマッチングや利用料の請求・支払いなど、事務手続きも煩雑なものになる。
仮に紙の管理台帳を使ってこの業務を行うとなれば、職員数18名の同社協にとってはあまりにも負担が重く、有償ボランティア事業の展開は困難だっただろう。これを可能としたのが、SCSKの「CELF」を活用したアプリ開発である。

「先行して有償ボランティア事業を開始した他の社協からも、『運営が非常に大変』と事前に聞いていたため、私たちはアプリありきで事業を検討しました」(森下氏)

そして同社協は、医療・福祉分野のソフトウェア開発を専門としているITベンダーである株式会社キュアに相談を持ち掛け、パートナーとすることで、2024年4月にプロジェクトを開始した。キュア IT事業部 部長の浅井 孝文氏は、「俱知安町社会福祉協議会様からお声がけをいただいた時点で、すでに有償ボランティア事業の業務フローはかなり明確な形で固まっていたため、アプリ開発は比較的スムーズに進められると判断しました。また、開発期間を可能な限り短縮するともに、将来的な内製移行なども考慮し、ノーコード開発ツールを活用することにしました」と振り返る。

ただ、ノーコード開発ツールを活用したアプリ開発は、キュアにとっても初めての試みであるため、どの製品をベースとするのか入念な検討が必要だった。その結果として選定したのがCELFだったのである。

「複数ベンダーのノーコード開発ツールを比較する中で、今回のアプリ開発を担当したエンジニアからの『CELFがベスト』という意見を受けて採用を決めました。また『大量データの集計や計算などExcelライクな処理が多く発生することから、CELFが最も使いやすい』など、当社エンジニアからの推薦もあり、CELFを採用することに決めました」(浅井氏)

会員マッチングにおける業務フローのイメージ

デジタル世代にもフィットした使いやすいアプリを高速で開発

俱知安町社会福祉協議会における有償ボランティア事業のアプリ開発プロジェクトは2024年5月から8月までの約4か月間をかけて行われた。この短期間にもかかわらず、キュアは大きく2つのアプリを完成させている。

1つは、有償ボランティア事業のメインアプリで、前述したレシーブ会員とサポート会員のマッチングや利用料の請求・支払いなど、事務局側の業務を支援するものだ。

「CELFを使ってキュアが開発してくれたアプリは、まさに私たちが期待したイメージどおりのものでした。最初に画面を見せていただいた段階から、まったく違和感を抱くことなく直感的に使い始めることができています。現時点では、このアプリを事務局として利用していますが、今後はレシーブ会員やサポート会員が増えていくに伴い、他の職員も利用することになります。その際にも、このアプリなら戸惑うことなく受け入れられ、定着化を図ることができると考えています」(森下氏)

もう1つは、サポート会員がレシーブ会員から様々な依頼を受けて対応を行った際の活動報告を紙の書類ではなく、スマートフォンから入力できるようにするアプリである。こちらはCELF Browser Access(旧CELF Anywhere)を使って開発された。

「たとえば夏休みには地元に帰省した学生のボランティアも増えることから、若い人たちの生活スタイルに合わせた仕組みも用意しておいたほうが良いと考え、開発に踏み切ったものです。このアプリは当初の予定にはなかったのですが、キュアが快く引き受けてくれたおかげで、メインアプリと同時にリリースすることができました」(森下氏)

「CELF Browser AccessもCELFと同様に非常に使い勝手がよく、開発生産性が高いことから、エンジニアの負担をそれほど増やすことなく、俱知安町社会福祉協議会様の期待にお応えすることができました」(浅井氏)

レシーブ会員とサポート会員の規模拡大にあわせた機能強化を図る

先述の森下氏の言葉にもあるとおり、スタートして間もない同社協の有償ボランティア事業は、レシーブ会員もサポート会員も登録者数もまだ少数にとどまっているが、地域住民の認知が高まるにつれて、着実に規模は拡大していくことが見込まれる。
そんな将来に向けて、俱知安町社会福祉協議会とキュアの両者は、今回開発したメインアプリのさらなる機能強化を図っていく考えだ。

「レシーブ会員とサポート会員との間のよりきめ細かなマッチングを高精度で行うためには、レシーブ会員のニーズの詳細なカテゴライズを行うとともに、サポート会員が所有している多様なスキルをレベル分けして登録・管理するなど、タレントマネジメントにも近い機能を実装していく必要があると考え始めました」(森下氏)

続けて浅井氏は、「もともとCELFはデータ集計/活用を得意としており、その上にAI技術などを組み合わせれば、ご要望に沿った高度な機能の実装も決して無理ではありません」と語っており、今後のアプリの進化に大きな期待が持てそうだ。

デジタル世代にもマッチするようスマートフォンを通して簡単に入力できる

企業情報

企業名社会福祉法人 俱知安町社会福祉協議会
業務内容
    「笑顔・やさしさ・思いやり」のもと、行政の行う福祉施策と連携しながら、民間ならではの即応性・迅速性・柔軟性をもって、地域住民とともに、誰もが住みなれた地域で安全に安心して暮らし続けることのできる福祉のまちづくりを目指している。

導入事例