手書きや電話連絡などのアナログ作業に依存していた
ガス器具の受発注・在庫管理業務を全面的にシステム化

鈴与商事株式会社

業種: 卸売業・小売業

対象部署: 情報システム部、くらしサポート販売部

対象業務: ガス工事関連器具の受発注・在庫管理

業務効率化の足かせとなっていたアナログ作業

鈴与商事株式会社 清野 友和氏
鈴与商事株式会社
情報システム部 部長
清野 友和氏

鈴与グループの主力企業の1社である鈴与商事は、静岡県を中心に石油・ガス・電力などの販売を手がけ、人々の暮らしやビジネスに貢献してきたエネルギーの総合商社だ。近年では法人向けに省エネ機器やバイオ燃料の導入サービスを提供するほか、個人向けにはリフォームや太陽光発電の導入サービスにも進出している。

そんな鈴与商事にとって、業務効率化の足かせとなっていたのが、多くのアナログ作業の存在である。ガス工事に関する器具の受発注・在庫管理業務もその1つだ。

同社 情報システム部 部長の清野友和氏は、「そもそもシステム化自体ができておらず、発注書をはじめとする各種伝票の起票から手板(在庫表)への記入、納期確認まで、すべてのプロセスが手書きと電話連絡で行われていたため、煩雑な手間と時間がかかっていました。また器具の入出庫時に、誰がいつどこに発注した商品なのか、現物の判別がつかないこともありました」と振り返る。

内製化を見据えたExcelライクの操作性などを高く評価

鈴与商事株式会社 長谷川 奨太氏
鈴与商事株式会社
情報システム部
長谷川 奨太氏

同社が上記のようなアナログ作業の課題解決に向けて動き始めたのは、業務のペーパーレス化や働き方改革に対する全社的な機運の高まりがきっかけだ。

「業務の属人化を解消し、営業部門からバックオフィス部門まで、すべての担当者がより効率的に連動・連携しながら活動できるようにするためには、紙や手作業を徹底的に排除していく抜本的な改革が求められました」(清野氏)

こうしてガス工事関連器具の受発注・在庫管理業務のシステム化に向かった同社が、その開発プラットフォームとして採用したのがCELFである。

同社 情報システム部の長谷川奨太氏は、「実は当社自身がSCSKの販売パートナーとしてCELFを取り扱ってきた経緯があり、DX営業部からも推奨を受ける形で社内実践に踏み出しました」と語る。

ただ、必ずしも最初からCELFに決め打ちでシステム構築に着手したわけではなく、他社のノーコードツールとの比較検討も行ったという。その結果としてCELFを選定したことには、どんな判断があったのだろうか。

「理由は大きく3点あります。1点目は、Excelライクな画面イメージを皆で確認し、修正を加えながら完成形に持っていけることです。2点目としてスピード感のある開発が可能なこと、3点目としてアプリを使用する担当者の多くが操作を直感的に理解できそうだと確信を持ったことから、CELFの活用を決断しました」(長谷川氏)

CELFを用いたシステム構築が現場の意識を変えた

システム構築プロジェクトは2024年1月にキックオフし、同年9月より本番稼働を開始するに至った。実質わずか半年ほどの短期リリースだ。
「アジャイル開発の手法を採用したことにより、CELFの高効率なノーコード開発のメリットと相まって、非常にスムーズにシステム化を実現することができました」(清野氏)

もっとも、プロジェクトの途中過程では少なからず苦労があったのも事実だ。たとえばテスト期間中にも、当初の想定どおりのオペレーションにならないケースが次々に発生。テストに全面協力してくれていた業務現場の担当者から、「とても続けていけない」と強い反発を受けたこともあったという。

前述したとおり、そもそもガス工事関連器具の受発注・在庫管理業務についての統一的な仕組みが社内にはなく、ゼロベースでのシステム開発にユーザー側も漠然とした不安を感じていたのがその原因だ。しかし、開発が進むにつれてユーザー側の意識もどんどん変化していった。

「都度拠点に行って説明会を開催し、CELFならではExcelよりも高機能で安定したアプリケーションを実現できること、要求に対する迅速な改修が可能なことなどを説明するとともに、現場で困っていることをヒアリングしていったことで、徐々にCELFの有用性を実感してもらえました。これらの取り組みが功を奏し、本番稼働開始後はストレスのない利用が各拠点で定着しており、ユーザーの間からも『このシステムは素晴らしい』との声も少なからず聞こえるようになりました。こうした開発プロセスの一つひとつがとても感慨深く、私自身も大いに充実した時間を過ごすことができました」(長谷川氏)

ガス機器の受発注管理画面イメージ

メーカーを巻き込んだ受発注・在庫管理業務のシステム化で、大幅な効率化を実現

CELFを用いて構築されたシステムは、同社の受発注・在庫管理業務に大きな改善をもたらしている。
「ダイレクトFAXによる現場発注、納期回答・入庫の自動メール発信機能、一括取り込みシートの自動作成機能を実装したことで、課題であった発注書や各種伝票の手書き・手入力をなくしました。また、入出庫時のバーコード発行により、受発注情報、納品先情報などもシステム上で一元管理できるようになり、入出庫の確認電話や書類の受け渡しなどの非効率な手間がなくなりました。稼働から半年がたって安定運用してきたため、業務の効率化効果を計測していく予定です」(清野氏)

「主なユーザーからの評価として、営業担当者からは『ダイレクトFAXにより現場から直接メーカーに発注できるようになり、事務処理が減った』、業務担当者からは『データの一括取り込みができるようになったことで、実在庫との照合が楽になった』といった声が寄せられています」(長谷川氏)

これらの成果を踏まえつつ、同社はシステムのさらなる拡張を図っていく意向だ。
「今後のCELFの機能拡張と歩調を合わせつつ、スマートフォンやタブレットに向けたシステム展開を目指しています。またガス器具の受発注・在庫管理業務にとどまらず、ガス工事の工程および進捗状況、予算/実績なども同じシステム上で一元管理できるようにしたいと考えています。加えて情報システム部では、活動報告として『はた楽』という社内報を定期的に発信しており、そこでCELFがもたらした受発注・在庫管理業務の効率化をDX促進の成功事例として紹介しました。今後も、社内DXを積極的にアピールしていけたらと考えています」と清野氏は語っており、従業員の働き方改革に資するシステムの高度化とともに、より広範な業務へのCELF適用を見据えている。

CELF導入BeforeAfter

企業情報

企業名鈴与商事株式会社
業務内容
    石油製品・LPG等のエネルギー販売、発電および電力の仕入・販売、エネルギーシステム機器の販売・施工・保守管理、太陽光発電システムの販売、温室効果ガス排出権の販売、ボトルウォーターの製造・販売、セメント・生コンクリート等建設資材の販売、合成樹脂原料・化成品・合成樹脂製品等の販売、FA電機品、複合機他OA機器販売など。

導入事例