介護事業を取り巻く制度改定や業務フローの変更にも柔軟に対応
自由度の高いカスタマイズ性を生かして
必要なアプリを迅速に展開
株式会社ヤマウチ

業種: 医療,福祉
対象部署: ジョイリハ事業本部
対象業務: 介護計画作成、顧客管理、日報管理、帳票作成
現行のローコードツールやERPパッケージの運用コストが課題に
常に地域に密着し、その街に生活する人々の一部となって「ハッピー」を提供し続けることを自らのミッションとし、エネルギーインフラ、カーライフ、スポーツクラブ、フードサービス、指定管理事業など幅広いビジネスを展開しているヤマウチ。介護事業も注力分野の1つであり、「ジョイリハ」ブランドのもと、介護予防やリハビリに特化した短時間デイサービス(通所介護)事業を展開している。
同社 ジョイリハ事業本部の担当者は、「高齢者が住み慣れた地域で健康的に自立した生活を続けられるよう、機能訓練や運動指導、心身のケアを専門スタッフがサポートしています。現在、直営店とフランチャイズをあわせて全国約60拠点に施設を展開しています」と語る。
そんなジョイリハ事業にとって不可欠なのがITだ。現場のスタッフがより品質の高いサービスを利用者に提供できるよう、施設全体の業務効率化を支えるITの仕組みづくりを推進している。そうした中で活用してきたのが、データベースを簡単に作れるローコードツールと、クラウド型のERPパッケージである。
だが、この2つのシステムには課題も生じていた。
「ローコードツールは主に利用者様のアセスメントやサービス計画の作成、施設の利用調整などに用いていたのですが、バージョンアップやシステム連携時に不具合が発生しやすく、トラブル対応の作業負担やコスト増加が課題となっていました。一方のERPパッケージは、新しく施設の利用を希望される方との折衝の記録(※ここでは導入調整及び見学調整と呼ばれる)、利用者がどのマシンを使って筋力トレーニングを行ったかなどを記録する利用実績管理、そして営業日報や業務日誌、施設日報等の各種帳票の出力などに用いていたのですが、こちらも将来的なバージョンアップや機能追加に多額のコストがかかり、利用継続が懸念されていました」(担当者)

柔軟なカスタマイズ性とIT知識を問わない操作性を評価しCELFを導入
上記の課題をどうすれば解決できるのか。現行システムのリプレイスも視野に入れ、今後の業務効率化を推進していく手段を検討していた中、社内のIT戦略室から紹介されたのがSCSKのノーコードツール「CELF」である。
「CELFは現行のローコードツールよりもライセンス費がリーズナブルで、なおかつ高い自由度をもったカスタマイズ性に大きな魅力を感じました。特に注目したのは、Excelライクな業務アプリを作成・運用できる点です。CELFであれば現行の2つのシステムを統合することで、現場のスタッフにも親しみやすい仕組みを提供し、短期間で浸透を図ることができると判断しました」(担当者)
こうして2021年5月にCELFを導入した同社は、SCSKから紹介されたエヌ・エス・ケイを開発パートナーに選定し、アプリ開発に臨んだ。
「まずは現行のローコードツールで開発・運用していたアプリをCELFで再構築。次のステップでERPパッケージに実装していた機能をCELFに巻き取るという、2段階でアプリの移行を進めました」(担当者)
「UIを極力従来のものと同じにする」方針のもと運用を変えず新システムを定着化
現行のローコードツールやERPパッケージで実装していた業務機能をCELF上で再現するにあたり、同社が強くこだわったのは「UIを可能な限りこれまでシステムと同じ使用感にする」ことである。介護業界において特に現場ではIT人材の確保は非常に難しく、システムの定着化を図るためには「慣れた操作方法を変えない」ことが重要な要件となるのだ。
「CELFのカスタマイズ性を最大限に生かすことで、この要件をクリアすることができました。おかげで現場スタッフの学習コストを最小限に抑えることができました。具体的には従前のシステムからの変更点を整理したマニュアルを作成・共有し、短時間の研修を実施するといった、ほんの少しの追加学習を行うだけでスムーズに新システムを利用できる環境を整え、現場への浸透につなげることができました」(担当者)
実際に現場のスタッフからも「以前と同じように戸惑わずに使える」「分断していたシステムが1つに統合され、以前よりもシンプルで使いやすくなった」といった、前向きな声が寄せられている。
パッケージサービスにはない自由度を駆使し、業界特有の法改正にも対応
さらに自由度の高いCELFのカスタマイズ性は、さまざまな法改正に対応するための作業負荷軽減にも大きく貢献しているという。
「介護事業で適正な収益を得るためには、ほぼ3年に一度のサイクルで行われる介護報酬改定(介護保険制度改正)に対応しなければなりません。例えば厚生労働省の『科学的介護情報システム(LIFE)』に向けた報告データ入力用のCSVファイルなど、従前は別システムで行っていた帳票やデータセットの作成機能もCELFに統合することで、新たな制度改定で求められる要件や、細かな仕様変更にも柔軟かつスムーズに対応できる体制を整えることができました」(担当者)
このようにCELFならではの自由度の高いカスタマイズ性により、将来的な法改正にも柔軟に対応できる体制づくりが可能になったほか、旧来システムで発生していた二重入力の作業がなくなり、業務効率性が高めることにつながったという。

さらなる改善・拡張に向けて「CELF BrowserAccess」や「CELF AI」などの
オプションサービスにも注目
ここまで述べてきたとおり、CELFのカスタマイズ性を生かすことで必要なアプリを臨機応変に作成・修正し、現場レベルでの業務フローの変更や新たな課題にもスピーディに対応していることが、同社の取り組みの最大のポイントである。
「ITに不慣れなスタッフにも日常的に使い慣れたExcelライクなUIを提供できるため、現場への浸透が非常にスムーズです。そんなCELFならではの特性を活かして、業務で必要なアプリの内製化にも容易に踏み出し、介護を取り巻く社会環境の変化や制度改定に素早く対応したい企業に特におすすめできます。導入時は現場スタッフの意見を積極的に取り入れながら、段階的に機能の実装を進めることが定着化の鍵です」と担当者は語る。また、「私たちの取り組みは、システム維持コストの最適化という観点でも大きなメリットをもたらしています」と強調する。
もっとも、同社自身もこれで満足しているわけではない。今後に向け、システムの利便性や快適性のさらなる向上を目指して改善・拡張を図っていくとする。
そうした中でも特に注目しているのが、タブレットのブラウザ環境でアプリを利用できるようにする「CELF BrowserAccess(旧CELF Anywhere)」や、生成AIの機能をアプリに組み込むことができる「CELF AI」といったオプションサービスだ。
システムの絶え間ない進化を追求し続けてこそ可能となる、介護事業の持続的な成長をヤマウチは体現しているのである。

企業情報
-
1932年に香川県高松市で創業し、エネルギー、カーメンテナンス、スポーツ、介護、美容、フード、セレモニー、指定管理など幅広い事業を手がける。「MOVE TO HAPPY 〜快適なライフステージの創造〜」を掲げ、地域を幅広く支える“生活応援企業”として全国に400店舗を超える拠点を展開。グループ全体で2,000名以上のスタッフを擁している。