手作業に依存した案件進捗管理業務をデジタルで抜本改革
集計作業の自動化により顧客対応時間を創出し
「営業時間の最大化」を推進
鈴与株式会社
業種: 運輸業・郵便業
対象部署: リース事業本部
対象業務: トラックやフォークリフト、建設機械、医療機器などリース案件の進捗管理
営業時間の最大化に向けてアナログな案件進捗管理からの脱却を目指す

鈴与株式会社
リース事業本部
業務部長 一木 尉氏
物流事業を主軸に、創業220年を超える歴史を持つ鈴与株式会社。同社のリース事業本部では、トラックやフォークリフト、建設機械、医療機器など、幅広い機器のリース営業を展開している。
そんな同社が長年の課題としていたのが、案件の進捗管理である。同事業本部 業務部長の一木 尉人氏は、「東京、横浜、松本、名古屋、静岡の5つの拠点ごと、月間数十件に及ぶ新規リース契約の商談が発生しますが、その進捗管理は各営業所のホワイトボードで行われていました」と振り返る。
同事業本部 関東支店 東京営業所 営業推進役の山下 啓喜氏が、「金額が変更されたら、電卓を使って利益率を出し直し、ホワイトボード上の数字を書き換えるという作業が日課になっていました」と続ける。

鈴与株式会社
リース事業本部
関東支店 東京営業所
営業推進役 山下 啓喜氏
営業サポートを務める同事業本部 関東支社 業務課の小島 史華氏も、「外出先にいる営業担当者から電話でかかってくる『ここを直して』という依頼を受けて、代わりにホワイトボードを修正するのですが、そのたびに業務の手を止めなければなりません。また、書き間違いなどのミスの原因にもなりかねません」と語る。
そこで出勤が規制されたコロナ禍を機に、同社は案件管理をホワイトボードからExcelに移行したのだが、これも課題解決には至らなかった。
「営業担当者や営業所ごとに別シートで管理されており、全社で統一されたフォームが存在しなかったのです。月次の締めには、各担当者から集めたデータを改めて手作業で集計し直すという無駄な工数が発生していました」(一木氏)
こうした非効率な業務の抜本的な改善は、同社が掲げる経営方針に直結している。
「会社のトップが掲げているのは、Well-beingおよびワークライフバランスの推進です。それを実現するため、当本部では、『営業時間の最大化』に取り組んでいます。営業担当者がお客様と接する時間を増やすためには場所に囚われない働き方を実現する必要がありました。実際、営業担当者は顧客訪問後、営業所まで約1時間かけて戻り、ホワイトボードやExcelシートを更新していました。この時間を削減し、真に価値を生む営業活動に振り向けることが、デジタル化推進の最大の目的です」(一木氏)
Excelライクな操作性とデータベース化を両立できるCELFを導入

鈴与株式会社
リース事業本部
関東支店
業務課 小島 史華氏
案件進捗管理における抜本的な課題解決のためには、基幹システム上で管理されている取引先コードや契約番号など、マスタと紐づけられたデータベースを構築する必要があると考えられた。しかし、これには多大なコストが発生してしまう。
そうした中で目に留まったのがノーコード・ローコード開発ツールであり、同社はグループ会社の鈴与システムテクノロジー(以下、SST)から推奨された「CELF」および案件の進捗状況をスマホからも閲覧・操作できるようにする「CELF BrowserAccess」の導入を決定した。
SST 第1システムインテグレーション事業部 DXシステム部 DXシステム課 エキスパートの丹野 友朗氏は、「営業現場が慣れ親しんだExcelライクな操作性を継承しつつ、全社的な情報共有を実現するデータベースを構築できること、月額ライセンスでの利用が可能で通常のスクラッチ開発と比べて大幅にコストを抑えられるメリットを重視し、CELFを中心したソリューションを提案させていただきました」と説明する。
CELFによる案件進捗管理システムの開発は、2025年7月にスタート。山下氏を中心とする営業推進チームが、必須入力項目や運用ルールなどを整理した「標準フォーム」を策定。これを受けたマスタ設計やデータベース設計、基幹系とのデータ連携を含むシステムの全体設計・開発・保守運用をSSTが担うというのが主な役割分担だ。なお、CELFおよびCELF BrowserAccessのUI開発は、リース事業本部とSSTとの協働によるアジャイル型で進められた。
SST 第1システムインテグレーション事業部 DXシステム部 DXシステム課の望月 慎太郎氏は、「まずは既存のExcelをベースにした初期画面を作成しました。実際に営業現場で操作・入力していただき、細かな改善要望を吸い上げながら修正・反映を繰り返してきました」と語る。
集計作業の自動化とスマホ対応により営業活動に専念できる時間を創出
SCSKのサポートも受けつつ、案件進捗管理システムの開発はスムーズに進み、2025年8月に初期バージョンが完成。新年度を迎えた9月からは、本部規模での本格運用を開始した。これに伴い、業務効率化の効果もあらわれている。
「手作業でデータ集計を行う必要はなくなり、現在はCELF上で完全に自動化されています。肌感覚ではありますが月次報告に費やす工数は10分の1以下に削減されています」(一木氏)
もちろん、ホワイトボード上で案件の進捗管理を行っていた当時のような、頻繁な修正依頼に本部側で対応する必要もない。
「おかげで経理や決算、経営層への報告、営業サポートなど、私たち本来の業務に専念することが可能となりました」(小島氏)
そして何よりも大きいのは、収益力向上につながる営業部門の業務改革である。
「従前は営業活動後にいったん事務所に戻り、ホワイトボードやExcelシートを更新する必要がありましたが、今はCELF BrowserAccessのスマホアプリにより、どこでも案件の進捗情報を確認・更新することが可能です。これによって生み出された時間を活かすことで、営業担当者は1~2件多くのお客様を訪問できるようになりました」(山下氏)
さらに同社では、CELFの案件進捗管理システムにおいて、あえて閲覧権限を設定せず、全営業担当者が互いの案件状況を確認できる仕組みとしている。
「もともと当本部では情報をオープンにする文化が根付いています。そのため今回の案件進捗管理システムでも、全員が見えるように、あえて制限を入れていません。他の担当者の案件状況が可視化されることで営業活動の刺激となることも考慮しています」(一木氏)
加えて案件進捗管理システムには、これまで扱うことができなかった新たなデータも蓄積されている。
「失注データもその1つです。これまでは担当者ごとにバラバラに入力されていた失注理由をマスタ化し、選択式で登録できるようにしました。同時に、個別の事情や背景については補足情報として自由記述できる欄も残しています。この仕組みにより、検索性や集計精度が大きく向上するとともに、『失注の原因はどこにあったのか』『どのような条件であれば成約につながりやすいのか』といった深掘り分析の基盤を整えることができました」(一木氏)
企業情報
-
1801年に清水港で廻船問屋として創業した総合物流企業。現在は、DC・倉庫事業、国内輸送事業、国際輸送・輸出入事業、海外事業、港湾運送事業、物流情報サービス事業、データソリューション事業、リース事業の大きく8つの事業・サービスを展開している。






