分断していた収支管理業務をCELFで標準化
ノーコード開発の特性を生かし、現場主導の内製化を推進

山九株式会社

業種: 運輸業・郵便業

対象部署: デジタル技術活用推進部

対象業務: 収支管理

支店ごとにバラバラに行われてきた非効率な収支管理業務

山九株式会社 古田 農尚氏
山九株式会社
技術・開発本部
デジタル技術活用推進部
データ活用推進グループ
グループマネージャー
古田 農尚氏

ロジスティクス(物流)とプラントエンジニアリング(機工)を二本柱とする事業を、国内外で展開する山九。近年はサステナビリティや環境保護に対応した専門部署も設けるなど、さまざまな社会課題にも積極的に取り組んでいる。しかし、こうした事業拡大を進めていくうえでのネックとなっていたのが、非効率な収支管理である。

山九では各事業の実績データはSAP S/4HANAを基盤とする基幹システムで管理され、財務会計などが行われている。一方で予想(見込み値)データについては、長年にわたり国内6エリア(東日本、首都圏、中部、関西、中・四国、九州)の約40支店が、それぞれ独自のExcelシートで管理し、現場レベルの意思決定(管理会計)を行ってきた。

山九株式会社 祥瑞 俊介氏
山九株式会社
技術・開発本部
デジタル技術活用推進部
データ活用推進グループ
係長 祥瑞 俊介氏

このような運用形態では、各支店の収支データを全社レベルで収集・集計するまでに多大な労力とタイムラグが生じてしまう。同社 デジタル技術活用推進部 データ活用推進グループ グループマネージャーの古田 農尚氏は、「各支店から寄せられる独自フォーマットを本社指定フォーマットへ転記・集約する作業が不可欠で、約20日のリードタイムが発生していました。結果として、前月度の収支データしか見ることができず、迅速な経営判断に生かすことができませんでした」と語る。

そこで山九はExcel業務をシステム化するため、開発ツールの導入を検討し、一部支店でトライアルを開始した。しかし、同グループ 係長の祥瑞 俊介氏は、「当初検討していたツールはデータベース操作にSQLの記述が必要で、非IT系の従業員しかいない全国の支店への展開は不向きでした。大量データを読み込んだ際のパフォーマンスやスケーラビリティへの懸念もありました」と振り返る。

現場適合性と高い投資対効果がCELFの選定理由に

そこで新たなソリューションを探るべく、情報収集のために訪れたIT系の展示会で出会ったのが「CELF」である。同じくデータ活用推進グループの山下 了氏は、「SCSKから詳しい説明を聞いたところ、CELFに大きな可能性を感じ、すぐさま上長に導入を進言しました」と語る。

山九株式会社 山下 了氏
山九株式会社
技術・開発本部
デジタル技術活用推進部
データ活用推進グループ
山下 了氏

山九が重視したのは、「現場ユーザーが日常業務で慣れ親しんだExcelライクな画面を簡単に作成できること」「SQLなどのコードを書かずにデータベース操作を完結できること」「オンプレミス環境にも対応できること」といったポイントだ。CELFはまさに、これらの要件をすべて満たす“真のノーコード開発ツールとして目に留まったのである。

さらに中堅・中小企業から大企業まで、1,300社以上に及ぶCELFの豊富な導入実績も選定を後押しした。「CELFに関する疑問点や使い方について質問をすると、他社ユーザーやパートナー企業からの回答を得られる『CELFコミュニティ』も組織されているなど、今後も伸びていく製品として期待できました」(山下氏)

そして決め手となったのが、投資対効果だ。
「現状のExcel運用を継続した場合と、収支管理アプリを全社展開した場合の費用対効果を比較試算した結果、概算で約20%のコスト削減が見込めると判断しました。また、CELFであれば内製化により外部委託費を抑えつつ他の業務改善にも展開できると考えました」(古田氏)

短期開発と現場定着で収支管理の効率化を加速

山九株式会社 篠崎 武氏
山九株式会社
技術・開発本部
デジタル技術活用推進部
データ活用推進グループ
篠崎 武氏

2025年1月にCELFを正式導入した山九は、まず関東エリアの2支店(ユーザー数約170名)を対象に、収支管理業務の標準化を行い、その結果を受けた要件定義を実施。その後、プロジェクトは同年8~10月の開発フェーズ、11~12月のテストフェーズへと順調に進み、2026年4月から本番稼働を開始した。

「実質的に約半年間という短期間で開発を完了できたスピード感は、CELFならではのノーコード開発という特性が大きく寄与しています」(山下氏)

システム開発を担当した同グループの篠崎 武氏は、実際にCELFを用いた感想を次のように語る 。
「CELFは普段Excelを触っているのと同じ感覚で操作でき、マクロを定義するのと同程度の作業負荷でアプリを開発できます。これなら収支管理のみならず、さまざまなシステムの内製化にも十分対応できると確信しました」(篠崎氏)

前述の2支店および本社における定量的な効果測定はこれからだが、すでにPOC段階で収支管理業務に費やす工数を10%以上削減できることを確認済みだ。新システムへの慣れが進むに伴い、効果はさらに高まっていくと見込んでいる。
「まずは20%以上の工数削減によるコスト削減と創出時間の有効活用を目指しています。業務標準化・最適化の効果とあわせ、最終的には全社的な工数を半減させたいと考えています」(古田氏)

導入後イメージ図

全社展開とAI活用を見据えた経営基盤への発展

CELFによって収支管理業務の効率化を実現した山九は、現在、収支管理システムを他エリアへ横展開しようと計画を進めている。
「事前ヒアリングを行ったところ、関西や九州の支店は、新システムへの移行に前向きな感触を示しています。2026年度中にこれらの支店をターゲットに横展開を図り、これを足掛かりに全国6エリアの全支店への横展開を進めていきます」(祥瑞氏)

また、山九では収支管理システム以外にも、新たな技術開発テーマに対する申請・予算フローのデジタル化や、全国で発生するデジタル化の案件を可視化するための情報収集アプリなどをCELFで構築済みだ。
「展開するアプリの数が増えても料金が変わらないCELFのライセンス体系が、こうした用途の拡大と、業務現場への定着化を後押ししています」(山下氏)

さらに、今後の大きなテーマとして見据えているのがAI活用だ。
「私たちはCELFを単なるデータの入力ツールとは捉えていません。まずは現場の業務をデータ化して利活用を可能にし、同時にデータの品質を上げていく――。その質の高いデータ基盤があるからこそ、次の業務改善や、さらに高度なAI活用にもつながっていくと考えています」(古田氏)

これまで紙やExcel上でデータを使い捨てにしてきたアナログな文化から脱却すべく、全社的な基盤のもとデータを蓄積し、分析・活用し、現場に還元していくサイクルを確立していく。その実現に向けて、CELF導入に端を発する山九の取り組みは、着実に前進を続けている。

企業情報

企業名山九株式会社
業務内容
    1918年創業。港湾荷役からスタートし、顧客や社会のニーズに応えながら、陸上輸送、構内物流・操業、機工へと事業を発展させてきた。これまで培ってきたモノづくり、輸送、メンテナンスの技術を生かし、現在はさらに社会インフラや再生可能エネルギー、グリーン物流へと事業を拡大している。

導入事例