配布・回収に追われたExcel業務を内製で刷新
配信工数削減、コスト意識醸成、経営判断の迅速化を実現
YKK株式会社
業種: 製造業
対象部署: 管理本部 財務・経理部 経理グループ
対象業務: YKK株式会社の予実管理(実績配信・予算書収集)
500工程以上に及ぶExcelの配布・回収が限界に

YKK株式会社
管理本部
財務・経理部 経理グループ
S氏
YKKグループはファスニング事業、AP(建材)事業、ハウジングソリューションズ事業を中核に、世界約70の国・地域で展開しており、YKK株式会社はファスニング商品の製造・販売を行っている。
同社 財務・経理部 経理グループでは、YKK株式会社の業績管理、すなわち予算と実績を管理する「予実管理」を担っている。業務としては、前月実績を全部門へ配信する「実績配信」と、年度の事業計画に向けて各部門から予算を集める「予算書収集」の2つに大別される。
「予算書収集」を例にあげると、従来はExcelベースで運用しており、経理がフォーマットを用意し、各部門の担当者へ配布。各部門の担当者は工程ごとに予算を記入後、経理担当者が回収し、マクロやパワークエリなどで集計して報告資料にまとめていた。この工程数は500以上あり、経理担当者は多数の相手と個別にやり取りする必要があった。それに加え「予算書収集」は一度限りではなく、1次案・2次案・最終案と段階を踏んで複数回収する必要があるため、負荷が繰り返しかかる構造だった。
「Excelでの運用ということで、一度配ってしまうとフォーマットの修正がしづらく、ミスが発覚した場合は再配信する必要がありました。回収の際も、誰が提出済みで、誰が未提出なのかを常に確認しなければなりません。加えて、Excel自体もデータ量が増えると動作が遅くなっていました」(S氏)
部門担当者が意図せず編集してしまい、集計業務ができなくなったり、集計結果に不整合が生じることもあった。マクロやフォーマットが部門担当者側で書き換えられてしまうと、経理側での集計作業がその都度滞ってしまうのである。
さらに、予算書をSharePointで掲示する運用を試みたが、フォルダ権限設定の他、途中でバージョン違いなどの理由によりファイルを差し替える必要がある場合、すべてのファイルを差し替える必要があり、その分作業工数が多くかかっていたという。
Excel文化へのフィットと「内製化できる」点を評価しCELFを選定
CELF導入の検討が始まったのは2019年頃のこと。現場への受け入れやすさと内製化のしやすさを軸に、複数製品を比較検討した。
「従来使用していたツールがExcelだったこともあり、現場での馴染みやすさを重視しました。Excelベースで扱えるCELFは、その点で最も強みがありました。加えて、ローコードで部内のメンバーが開発できることも大きな利点でした」(S氏)
外部に開発を委託すれば、やり取りに手間がかかり、細かな改善に手が届かなくなることもある。自部門の業務を理解した者が手を動かせる内製の体制は、それ自体が価値だとS氏は語る。実際、「予実管理」のレポートを自部門で作り上げた経験が、「予算書収集」のアプリ開発にもつながった。
移行そのものもスムーズで、もともとExcelで運用していた予算書を、そのままCELFに置き換える感覚で対応できたという。この移行を後押ししたのが、CELF特有の機能「アクションセット」だ。プログラミングの知識がなくても、直感的な操作で処理を組み立てられる。
「データを更新する、集計するといった機能がブロックごとに分かれていて、組み合わせるだけで思い描いた処理が形になります。プログラミングの専門知識がなくても直感的に組み立てられ、条件分岐もExcel関数と同様の感覚で捉えることができました」(S氏)
CELF導入中に注力したのが、各部門でばらつきのあったレポートのフォーマット統合だ。「例えば、労務費一つをとっても、労務費1つで表示させるのか、給料や賞与等の詳細を分けて表示させるのか、部門ごとに表示させたい粒度が異なります。このように各部門で見たい数値や粒度が違うため、そのすり合わせには苦労しましたが、説明会を開いて全社で同じ基準を使う意義を確認したことで、社内からの理解を得られました」とS氏は当時を振り返る。
配信工数を大幅に削減し、現場にコスト意識が芽生える
CELFの導入によって、配布・回収・集計にかかっていた工数は大きく圧縮された。
「具体的な時間は計測していませんが、フォーマット作成に約1週間、配信作業にさらに数日を要し、合わせて2週間近くかかっていた工程が、管理者画面で更新・公開するだけで完了するようになりました。かつては部門ごとに分かれていた配信担当も、今では1人で対応できる体制になったのも大きな導入効果です。各部門の担当者側の工数も合わせれば、削減効果はさらに大きなものになるでしょう」(S氏)
工数削減にとどまらず、意思決定のスピードにも変化が生まれている。従来はExcelで集計した数値をPowerPointに貼り付け、役員報告会の場で初めて共有するという流れだったが、CELF導入後は数値が確定した時点でそのまま配信されるため、役員が自ら最新の数字を即時確認できるようになった。
そしてもう一つ、S氏が大きな効果として挙げるのが、現場に芽生えたコスト意識だ。フォーマットが統一され、同じ条件で部門間を比較できるようになったことで、「なぜこの部門では前年・計画との差が大きく出ているのか」という視点が現場に自然と根づいていった。実績配信にあわせて、差額の大きい費目については各部門の担当者にコメントを入力してもらう形式とすることで、部門担当者との単純なやり取りの回数が減少し、より深堀りした内容の確認に時間を割くことができるようになった。
「同じレポートを見ているからこそ、どうしてこうなっているのかが聞きやすく、会話もスムーズに進みます。作業の効率化にとどまらず、一人ひとりのコスト意識が醸成されていったのもCELFによる効果です」(S氏)
AI活用も視野に、内製でさらなる業務高度化
今後は予実管理以外への展開も見据えている。エンドユーザーまで情報を入力できるCELFの強みを生かし、他部門からの情報収集にも広げていく考えだ。
「データ量が増え続ける中で、CELFの処理速度のさらなる改善を期待しています。あわせて、AI機能の活用にも注目しています。経理と現場のやり取りなど、定性的な部分でも大いに役立つはずです」(S氏)
さらに、財務・経理部の中でアプリ開発を担うCELF人材を増やすことも計画している。このように、同社の挑戦はAIも取り入れた業務の高度化へと進もうとしている。






